イタリアが舞台の小説をまとめています。(ミステリ、警察小説など)
文学作品や古典的な小説よりも、近刊を中心にまとめています。
イタリアへの旅行や観光の時にもおすすめの小説です。
イタリアン・ミステリ・警察小説
「カルニヴィア」 ジョナサン・ホルト(著)
ヴェネチアを舞台にした警察小説「カルニヴィアシリーズ」は、イタリアの文化、風習、歴史などが織り込まれたミステリです。
カルニヴィア1<禁忌>、カルニヴィア2<誘拐>、カルニヴィア3<蜜謀>の3作品があります。
1では、ユーゴ内戦ネタ。2では、第2次大戦中のパルチザンなど、奥の深い要素もあり、個人的にもおすすめです。
史実、宗教(ファシズム、パルチザンなど)や憲兵隊などの警察機構の日本との違いなども記載されていて、知識の勉強になる記述も多いです。
「誘拐・P分署捜査班」 マウリツィオ・デ・ジョバンニ(著)
イタリア発の人気【警察小説シリーズ】第1弾
個性豊かな刑事達が、ナポリの街で続発する難事件に挑む。
ナポリでも治安最悪の地区にあるピッツォファルコーネ分署。汚職で大量欠員が発生する中、急造の捜査チームが作られる。次から次へと起こる事件に立ち向かうが!?・・
2017年からイタリアで連続テレビドラマ化の「21世紀の87分署」
「鼓動:P分署捜査班」 マウリツィオ・デ・ジョバンニ(著)
「P分署捜査班」シリーズ最新作
イタリア発の人気警察小説シリーズ
P分署近くのゴミ集積所で赤ん坊を見つけたロマーノ刑事。捜査班の面々は親探しに奔走するが、事態は思わぬ方向へ向かい!?・・
21世紀の〈87分署〉の最新作です。
「パードレはそこにいる」 サンドローネ・ダツィエーリ(著)
ローマを舞台にしたミステリー警察小説です。「パードレはもういない」など、続編も発売されています。
前半までは様々な情報や描写も含めて面白かったですが、後半(下巻)に入ると間延びした感じがしなくもなかったです。
「死を招く料理店」 ベルンハルト・ヤウマン(著)
グラウザー賞(ドイツ推理作家クラブが選ぶ)受賞作
イタリア料理×ミステリ
ローマの大衆料理店(トラットリア)にやってきたドイツ人作家。その店で料理をごちそうになりながら、店を舞台にミステリを書き出す。そのうち、彼の作品に書いていたことが実際に起こり始め!?・・
「七つの墓碑」 イーゴル デ・アミーチス(著)
ナポリ近郊が舞台のサスペンス・ミステリー
悪人が多いマフィア的な小説
「汚れた雪」 アントニオ・マンジーニ(著)
イタリア作家によるイタリアミステリ
イタリアでは9作まで出ているそうですが、翻訳としては第1弾です。
スキー場ミステリーの警察小説です。
「老いた殺し屋の祈り」 マルコ・マルターニ (著)
マリアーノ・ロミーティ文学賞【デビュー作部門】受賞
ノスタルジックな感じも漂うイタリアン・ノワール
イタリア映画の脚本家としての経歴がある著者の小説デビュー作
「インフェルノ」 ダン・ブラウン(著)
フィレンツェが舞台のダンテの「神曲」を巡る物語
現在のコロナ情勢を予感させるような人口密集による感染者の蔓延、パンデミックなどについても書かれています。
人口爆発による問題点やペスト(黒死病)のことなど、コロナ時代に読むと面白い1冊かもしれません。
ピッティ宮殿を駆け回るところなど、フィレンツェの建築の裏側も
「小さな壁」 ウィンストン・グレアム(著)
第1回 クロスド・レッド・ヘリング賞(CWA賞)受賞作
旧ゴールド・ダガー賞を受賞している「罪の壁」の新訳
アムステルダム運河で謎の死を遂げた考古学者。その死を不審に思う青年が真実を求めて、紺碧の南イタリアに向かうが!?-- カプリ島では、様々な思惑が入り乱れ!?・・
「教皇のスパイ」 ダニエル・シルヴァ(著)
ヴァチカンの闇を暴く衝撃作
ローマ教皇が逝去した数日後、イスラエル諜報機関長官ガブリエルは、「教皇の手紙が持ち去られ、警備担当者が失踪した」と教皇の個人秘書に呼び出される。ガブリエルは手がかりを追うが、秘密組織や禁断の書の存在が浮き出てきて!?・・
「薔薇の名前」 ウンベルト・エーコ(著)
このミステリーがすごい!1991年版【海外編】第1位
中世の北イタリアの山地、修道院の図書館を舞台にしたミステリー
言わずと知れたウンベルト・エーコの名作で、映画化もされています。
イタリア作家の小説
「リラとわたし・ナポリの物語1」 エレナ・フェッランテ(著)
イタリアでミリオンセラーの4部作からなるナポリをめぐる長篇小説
ナポリの下町を舞台に、奔放なリラと本好きのエレナの成長と友情。
6歳の時に出会ったリラと私。その長年の友人が姿を消した・・
2人の女性の人生を描いたイタリアのベストセラー。ナポリに生まれ、育ち、別れる人達を通して描かれる「ナポリ」の物語。
完結編の第4作目「失われた女の子・ナポリの物語4」は、日本翻訳大賞の最終選考5冊にも選ばれました。
「嘘つき村長はわれらの味方」 クリスティーヌ・サイモン(著)
イタリアの村を舞台に自称・村長が奮闘する笑えて泣ける小説
村の自称・村長は、近いうちに水道が止まってしまうとのことで困るが、工事をする金が無い・・工面のため映画撮影があると嘘をつくと、本当に映画の撮影が始まってしまうが!?・・
「幸せの列車に乗せられた少年」 ヴィオラ・アルドーネ(著)
ナポリの下町スペイン地区~
イタリア南部から北部へ、困窮の家庭の子を送り届ける、実際に運行していた列車。第2次大戦後の荒廃から、列車に乗せられた7歳の少年の心の葛藤と物語。
1946年~1952年まで、実在した列車とのことです。
「ミシンの見る夢」 ビアンカ・ピッツォルノ(著)
イル・コルサーロネーロ賞 受賞作
イタリアの国民的作家によるベストセラー
イタリア階級社会での少女の成長小説。
19世紀末、イタリア。階級社会の残る時代、コレラの流行で家族を亡くし、身寄りのないお針子の少女は、裁縫技術で針仕事を請け負う。その中で、様々な難題を乗り越え、成長していく波瀾万丈の物語ーー
ミシンひとつで力強く人生を切り開いていく!--
「失われた手稿譜」 フェデリーコ・マリア・サルデッリ(著)
[2015年] ジョヴァンニ・コミッソ文学賞(小説部門)受賞作
ミステリー風のノンフィクション小説。
作曲家ヴィヴァルディの自筆楽譜が辿った数奇な運命の謎を追いかけます。
フィレンツェの音楽アカデミーで指導した経験や音楽学者、研究者としての業績がある著者ならではの作品と言えます。
「甘くない湖水」 ジュリア・カミニート(著)
カンピエッロ賞 受賞作
イタリア文学界の新星による物語
湖のそばの貧困家庭で成長していく少女の内面を描く。障がいを持つ夫を支え、4人の子供を育てた私の母。しかし、母の厳格さが、10代~20代の多感な私を暴力的にしていった!?ーー
「Q」 ルーサー・ブリセット(著)
「ウンベルト・エーコが覆面作家として書いたのでは!?」と噂にもなりました。
結局は違う著者だということがわかりましたが、大いに話題になりました。
作風が似ている著者は、次作も執筆しています。
「この村にとどまる」 マルコ・バルツァーノ(著)
イタリア文学界の最高峰、ストレーガ賞の最終候補作
北イタリアのチロル地方。ヒトラーの移住政策で村は分断され、ドイツ語圏の地帯は、ムッソリーニにより、イタリア語を強制される。母語を愛するトリーナは、地下で子供達にドイツ語を教え生きていくが!?・・
「タタール人の砂漠」 ディーノ・ブッツァーティ(著)
作家ディーノ・ブッツァーティの代表作
現代イタリア文学として有名です。
2022年末に、没後50周年追悼で邦訳の短編集「ババウ」が発売済みです。
「マルコ・ポーロの見えない都市」 イタロ・カルヴィーノ(著)
現代イタリア文学を代表する作家の名作、幻想小説
マルコ・ポーロがフビライ汗の寵臣となり、空想都市(巨大都市、無形都市)の報告を描く、奇想に満ちた寓話的世界
《我々の祖先》3部作の「木のぼり男爵」「不在の騎士」「まっぷたつの子爵」などもあります。
「わたしの人生」 ダーチャ・マライーニ(著)
イタリアを代表する作家のメモワール
70余年の時を経て、現代への警告の気持ちを込めて綴る。
わたしは忘れないーー
1938年、文化人類学者の父の研究のため、2歳で来日する著者。1943年、ムッソリーニ新政権に忠誠を誓うことを拒否した両親と共に、終戦まで名古屋で抑留される。厳しい監視、追い詰められる飢餓、そして、ファシズムへの憤り..
イタリアの警察小説【あらすじ&レビュー】
「カルニヴィア1 禁忌」 ジョナサン・ホルト(著)
ヴェネチアを舞台にしたミステリー警察小説。
3までのミステリシリーズとなっています。
レビュー
ダビンチコードとミレニアムを合わせたような感じで良作だと思いました。
特に、「1の禁忌」はユーゴ内戦ネタで面白かったです。
インターネットのSNS創設者ダニエーレを巻き込みながら解決していくストーリー展開が面白いです。ヴェネチアの街描写なども多く、世界観に浸れました。
様々な情報がありながらうまくまとまっているので、読みやすいミステリ警察小説としてもおすすめのシリーズです。
「汚れた雪」 アントニオ・マンジーニ(著)
イタリアの北西端、フランス、スイスと国境を接するイタリアで一番小さい州、ヴァッレ・ダオスタ州のスキー場が舞台の警察小説です。
レビュー
謎解きの妙と小さな伏線がミステリとして単純に面白かったです。
警察小説としてもミステリーも面白く、イタリアの魅力も程よく詰め込まれていました。
冊子が薄く、320ページ程度なので、サクッと読めるよ
主人公の過去の闇と謎を残しつつ・・
モンブラン、マッターホルンなど4千メートル級のアルプスの名峰の周辺が舞台で、個人的にマッターホルンに行ったことがあるので、想いを馳せて楽しめました。
個性溢れる主人公の刑事は、クラークスの靴で雪山行っちゃうという・・
(スウェードだから水分吸い込むし、底がゴムだから滑るだろうに・・、10代の頃よく履いていたからわかる描写に共感しながら)
「暗手」 馳 星周(著)
イタリアが舞台のハードボイルド小説です。サッカー賭博がテーマ
台湾野球の八百長を題材にした「夜光虫」の続編
登場人物は前回から引き継いでる部分はありますが、物語は別のものとなっています。
夜光虫ほど骨太感もなく、書き下ろしのように感じてしまいました。
ただ、ストーリーが比較的単純なので、ぶ厚いながらもいっき読みできる軽さがありました。
おわりに
「薔薇の名前」を解説したテキストもおすすめです。