ハンガリーは、西はオーストリア、北はスロバキア、東はルーマニアなど、7ヶ国と国境を接する国です。
西の神聖ローマ帝国、東のオスマン帝国などに侵略され、歴史の舞台に再々、登場する国です。
そんな、中央ヨーロッパのハンガリーが舞台の小説をまとめています。
ハンガリー文学 ノーベル文学賞作家は!?
ハンガリー出身のノーベル文学賞作家は、ケルテース・イムレが2002年に受賞。
ハンガリー人初の受賞者となっています。
その他で有名な作家に、アゴタ・クリストフがいます。
「悪童日記」「ふたりの証拠」「第三の嘘」という「悪童日記」3部作で知られています。
1956年のハンガリー動乱のときに戦下のブタペストを逃れ、オーストリアに脱出し、スイスに定住したことから「亡命作家」とも言われました。
ハンガリーが舞台の小説
「メアリ・ジキルと怪物淑女たちの欧州旅行2 ブダペスト篇」 シオドラ・ゴス(著)
ヨーロッパ大陸の大冒険3部作の第2弾。
教授の父親に被験者にされた娘ルシンダを助けるため、メアリ・ジキルの令嬢達はロンドンからウィーンまでやってきた。見事、ルシンダを救出するが、メアリの父親マッド・サイエンティストのジキル博士が立ちはだかり!?ーー
「コミック密売人」 ピエルドメニコ・バッカラリオ(著)
イタリアの児童文学賞バンカレッリーノ賞受賞作
1989年ブダペスト、思春期の少年の葛藤と成長物語
著者の友人が「コミックを自由に見られなかった」との発言から構想を練ったそうです。
ただ、訳者あとがきによると、民主化の流れが来ていて1989年当時は、そこまでは厳しくない状況だったとのことです。
「運命ではなく」 ケルテース・イムレ(著)
ノーベル賞作家の代表作です。
ホロコーストによるユダヤ系の自伝的小説
過酷な状況の中、必死に生き抜こうとする少年の物語。ハンガリー史の暗黒面
著者が自らのナチス強制収容所での体験を描き出しています。
「灼熱」 シャーンドル・マーライ(著)
著者は、1948年、共産主義の台頭に反対し亡命。作品は「発禁」となってします。その後自由化を経て、再評価されています。
世紀末、ハプスブルグ帝国(オーストリア・ハンガリー二重帝国)時代
41年の時を経て会う2人の男、ひとりの女性をめぐる愛を描いた名作ベストセラー
「煙に消えた男」 マイ・シューヴァル&ペール・ヴァールー(著)
少し古めのスウェーデン作家の人気警察シリーズの1冊ですが、ブダペストが舞台になっています。
マイ・シューヴァル&ペール・ヴァールーは、現代スウェーデンミステリーの産みの親とも言われています。
「ドナウの旅人」 宮本 輝(著)
東西ヨーロッパを横切るドナウ河に沿って旅をしていく物語
情景描写が美しく、ヨーロッパを旅したくなる小説です。
ハンガリー旅行、ドイツや周辺国など、中央ヨーロッパ観光におすすめ
「黄金列車」 佐藤 亜紀(著)
2020年Twitter(ツイッター)文学賞【国内部門】第1位
ハンガリー黄金列車”を題材にした歴史エンターテイメントです。
ハンガリーの描写は殆どありませんが、ハンガリーのユダヤ人財産没収など、知っておくと良いかもしれない現実が書かれています。
「ハンナの戦争」 ギオラ・A・プラフ(著)
舞台は第二次世界大戦時の暗闇のヨーロッパ
実話に基づく、国際赤十字医師の青春戦争記ノンフィクション
ハンガリーが舞台の小説 【あらすじ&レビュー】
ハンガリー作家の名作の読了レビューを書きました。
「悪童日記」 アゴダ・クリストフ(著)
ハンガリーを舞台に第二次大戦下の悲惨さを双子の日記調にした作品
「ふたりの証拠」「第三の嘘」へ続く3部作です。
レビュー
名著とされ、戦争のあらゆる悲惨さが入っているとされてるが、個人的にはあまり面白さがわかりませんでした。
巻末にある訳註と照らし合わせて読む感じです。
戦時下のハンガリーの田舎を舞台にマジックリアリズム的な小説です。
オーウェルの「1984」的な要素があるのでしょうか。
おそらく、学のある人には名作なのでしょうけれど、まわりくどくて、自分にはちょっと合わなかったかなぁという感じです。
「黄金列車」 佐藤 亜紀(著)
実在したハンガリー黄金列車を題材にした小説です。
第2次世界大戦末期、ユダヤ人の財産を守った小役人達の物語です。
黄金列車を指揮しながら、略奪逃亡したユダヤ資産管理委員会委員長のトルディ大佐など、登場人物の多くは実在の人物です。
レビュー
大戦中のハンガリーにおけるユダヤ人の状況などもかいま見れ、物語もそこそこ楽しめました。
個人的には、文章が箇条書きのような小説で、多少、読みづらさを感じました。
ただ、ハンガリーを舞台にした「黄金列車」という史実として、事実は知っておいても良いかなという1冊だと思いました。