【沖縄が舞台の小説10選】芥川・直木賞作品も

沖縄小説

沖縄を舞台にした小説の中から、おすすめの10冊を掲載しました。

沖縄が舞台やテーマの小説は多く出版されているように感じます。

面白いだけでなく、沖縄の歴史や文化も勉強になると感じた本を中心にチョイスしました。

沖縄が舞台の小説一覧

「琉球建国記」 矢野 隆(著)

[2022年] 日本歴史時代作家協会賞 受賞作

琉球王国の黎明期を描く歴史小説

15世紀、琉球王国。勝連半島の役人の加那(阿麻和利)は、民衆に悪政を強いる勝連城主を倒す。新たに按司となり、繁栄をもたらす。一方、国王となった尚泰久と側近の金丸は、失脚させるための計略をめぐらすが!?・・

琉球王朝の興亡を史実に沿って描いたそれぞれの生き様。

 

「渚の螢火」 坂上 泉(著)

琉球警察の主人公が沖縄内の事件にあたる昭和史サスペンス

2021年日本推理作家協会賞「インビジブル」で受賞した坂上泉の新刊

1972年、真栄田太一は本土返還が迫る琉球警察本部に帰任する。銀行の現金輸送車が襲われ事件解決に立ち向かうが!?・・

 

「海神の島」 池上 永一(著)

海神の島
中央公論新社
発売日:2020/9/8

沖縄生まれの3姉妹が、沖縄、東京、鹿児島、福岡、山口、台湾を縦横無尽に疾駆する冒険小説です。

失われた「海神の秘宝」を巡り、海中考古学などロマンのある話です。

直木賞候補経験もある作家で、他作品に「テンペスト」などがあります。

 

「琉球警察」 伊東 潤(著)

琉球警察
角川春樹事務所
発売日:2021/7/15

沖縄の戦後史など諸問題を絡めた警察小説

戦後のアメリカ統治時代の沖縄。「沖縄を取り戻す」という意識の人が多い混沌とした沖縄の人々気持ちが伝わってくる。

琉球警察名護警察署に配属された主人公が、自分の作業員(スパイ)に育てることに・・

 

「首里の馬」 高山 羽根子(著)

第163回(2020年上半期)芥川賞受賞作

2020年下半期に芥川賞を受賞した作品です。沖縄県の那覇市が舞台

郷土資料館に出入りする主人公は沖縄の歴史や文化に興味を持つ。

迷いこんだ宮古馬との出会い。沖縄の苦難の歴史など琉球について。

 

「パーフェクトワールド」 馳 星周(著)

1972年の沖縄返還直前の沖縄を舞台にしたハードボイルド。

アメリカとやまとーんちゅ(日本)に挟まれてなやむ沖縄人などの感情などがわかります。

馳星周氏は、2020年上半期に「少年と犬」で直木賞を受賞しました。

 

「宝島」 真藤 順丈(著)

宝島
講談社
発売日:2018/6/21

 第160回(2018年下半期) 直木賞受賞作 

沖縄の戦後1952年から1972年の本土返還まで20年の物語

戦後間もない沖縄の状況が感じられる冒険、青春小説。

米軍基地に忍び込み、略奪した物品を住民に分け与える「戦果アギャー」

3人の若者が激動の時代で熱く行動する姿が生き生きと描かれる。

著者の他の作品に「墓頭」などがあります。

 

「テンペスト 春雷」 池上 永一(著)

19世紀の琉球王国末期を舞台に描いた大河小説

19世紀、琉球王朝。13歳の若さで難関の科試を突破した真鶴は、名を孫寧温と改める。憧れの首里城に上がった寧温は、次々と財政改革に着手する。しかし、王室に仕える者達から激しい嫉妬を受け!?・・ 伏魔殿と化した王宮での波乱万丈の人生となり!?--

 

「接近」 古処 誠二(著)

接近
新潮社
発売日:2006/7/28

戦争小説ですが、いっき読みできるタイプの人間ドラマです。

1945年、アメリカ軍が沖縄本島へ上陸し、沖縄戦争へ突入しつつある頃。あの頃の沖縄は何だったのか!?… 沖縄島民の思いは!?..

 

「消された文書」 青木 俊(著)

沖縄の抱える様々な問題を題材にしたフィクション

尖閣諸島問題を中心に、オスプレイ墜落、普天間、辺野古基地問題など

著者は元報道記者で、清水潔(著)「鉄路の果てに」にも登場(同行)しています。



沖縄がテーマの小説 【あらすじ&レビュー】

「パーフェクトワールド」 馳 星周(著)

4.0

レビュー

公安警察、リゾート不動産、エス(スパイ)、琉球独立を目指すうちなーんちゅなどが入り乱れて混沌とした時代の物語で面白かったです。

相変わらずの馳星周氏の著作らしく、多くの登場人物や混沌とした人間関係で骨太な感じですが、沖縄の空気感(雰囲気)がビンビン伝わってきます。

 

「消された文書」 青木 俊(著)

消された文書3.5

フィクションでありながらリアリズムに迫った小説

冊封使録(さくほうしろく)

中国の皇帝が、琉球の王様を属国の主とみなす冊封って儀式があって、そのために派遣された使節が冊封使です。~~

その冊封使たちが明から清の300年間にわたって、代々書き継いだ琉球の見聞録、それが冊封使録です。

レビュー

物語自体は完全なフィクションですが、元報道記者の著者らしく、尖閣諸島問題、オスプレイ墜落や普天間基地など、リアリティのある小説で面白さもありました。

沖縄の抱えている現実問題を多く取り上げていて(特に、尖閣諸島問題)勉強になりました。

尖閣諸島の領有権問題を日本と中国のそれぞれの主張などから、現在の状況が簡潔に分かりやすく書かれています。

そして、冊封使録(さくほうしろく)という存在。

沖縄県警本部長暗殺、米兵の女子高生強姦殺人事件など様々な事件が起こります。 琉球王国の歴史もかいま見れました。

 

おわりに

沖縄が舞台の小説を掲載しました。

他にも、沖縄を舞台にした小説は多くありますが、おすすめの7冊に絞り掲載しました。

どの作品も沖縄の歴史や文化、風習が色濃く書かれているので、読まれてみてはいかがでしょうか。