【カリブ海諸島が舞台の小説15冊】キューバ、ドミニカ、グアドループなど

カリブ海小説

カリブ海諸島には、フランス、オランダ、イギリスなどの植民地だった島も多くあります。

例えば、北半分がフランス領で、南半分がオランダ領のセント・マーチン島など、現在もその名残が残っています。

そんな、文化や歴史の入り混じるカリブ海諸島の小説をまとめています。

カリブ海が舞台の小説

キューバ

「パラディーソ」 ホセ・レサマ=リマ(著)

革命前のキューバ社会を舞台にした大河

ラテンアメリカ文学の金字塔的作品。

5世代にわたる一族の歴史。クリオーリョ文化が漂うキューバでの家族の苦難、愛、非業の死ー

 

「キューバ・リブレ」 エルモア・レナード(著)

1898年のキューバを舞台に、巨匠レナードが描く歴史冒険

アメリカのクライムノヴェル、ノワール小説の巨匠エルモア・レナードの傑作。

 

「夜明け前のセレスティーノ」 レイナルド・アレナス(著)

キューバの生活を描いた美しい小説

日常的なキューバの寒村を舞台に、現実ともうひとつの世界。

少年と分身セレスティーノが生きる想像の世界。この家はいつも地獄だった・・ 母親は井戸に飛び込み、祖父は自分を殺そうとする・・

 

「夜明け前のセレスティーノ」に続く、〈ペンタゴニア〉5部作の第2作目も発売されています。バティスタ政権崩壊とカストロの革命政権の交代期。

 

「亡き王子のためのハバーナ」 カブレラ=インファンテ(著)

[1997年] セルバンテス賞(スペイン語圏最高の文学賞)受賞作家

旧共和制キューバが舞台の自伝的青春小説

ハバナでの青春など思春期。様々な女性遍歴を持ち、語られるエロス。

キューバの熱気を含みつつ。

 

ドミニカ共和国

「チボの狂宴」マリオ・バルガス=リョサ(著)

ノーベル文学賞作家、マリオ・バルガス=リョサマジック(魔術的)リアリズム小説

ドミニカ共和国のトッルヒーリョの独裁体制を描いた小説です。

30年に渡りドミニカ共和国で独裁政権のトゥルヒーリョの歴史小説です。

ラテンアメリカ文学を代表するノーベル文学賞作家の最高傑作。

 

グアドループ島

「生命の樹」 マリーズ・コンデ(著)

ニュー・アカデミー文学賞(2018年ノーベル文学賞代替え)受賞作

アカデミー・フランセーズ文学賞 受賞作

カリブ海諸島のクアドループの4代の家族の物語です。

フランスの植民地だったグァドループという日本人には馴染みが薄い!?場所や周辺が舞台の小説です。

現在はフランスの海外領で、カリブ海に浮かぶ西インド諸島にある島々で構成されています。

1998年刊。マリーズ・コンデは、フランス語圏の作家として、フランコフォニー文学の旗手とも言われています。

 

「犬が尻尾で吠える場所」 エステル=サラ・ビュル(著)

カリブ海/全゠世界カルベ賞 受賞作

パリとカリブ海、一族の物語。 父がルーツを持つカリブ海のグアドループ島とは、肌の色、休暇の時の記憶以外接点を持たないパリ生まれの姪。家族のルーツを求めて一族の歴史を掘り起こし!?・・

小さな島の家族、世界の歴史、人、文化が混ざり合う壮大なデビュー作。

 

トリニダート・トバゴ

「ミゲル・ストリート」 V・S ナイポール(著)

ノーベル文学賞作家のデビュー作

トリニダード・トバゴを描いた小説です。

「ミゲル・ストリート」で生まれた十七の人生の物語。

 

ハイチ

「この世の王国」 アレッホ・カルペンティエール(著)

マジック(魔術的)リアリズム小説

キューバ生まれ、マジックリアリズムの創始者とも言われる著者の傑作。

ハイチ革命を黒人奴隷ティ・ノエルの視点から描いた物語。

ヴードゥー教を背景に、フランス植民地のハイチの動乱と反乱の数十年。

 

「カリブ諸島の手がかり」  T.S.ストリブリング(著)

ハイチが舞台の名短篇集

心理学者ポジオリ教授が遭遇する5つの怪事件。

アメリカ占領下のハイチ。反乱軍を指導するヴードゥー呪術師、殺人容疑の元独裁者など・・

 

ジャマイカ

「七つの殺人に関する簡潔な記録」 マーロン・ジェイムズ(著)

[2015年] 英ブッカー賞 受賞作

ボブ・マーリー暗殺未遂をテーマに据えた小説

ジャマイカ出身の作家として初めてのブッカー賞受賞

1976年、レゲエスターのボブ・マーリーが襲撃された。アメリカを巻き込み国を二分され、政治緊張の高まってゆくーー

政治家、CIA工作員、アメリカ人記者、襲撃したギャングなど、闘いの真実とは!?・・

 

「ザルガッソーの広い海」 ヴァージニア・ウルフ(著)

奴隷制廃止後の19世紀英領ジャマイカ

カリブ海に入植したイギリス人の子孫の物語。

著者は、カリブ海のドミニカ国出身の女流作家

 

バハマ

「ゴースト・スナイパー」 ジェフリー・ディーヴァー(著)

カリブ海のバハマが舞台です。

ジェフリー・ディーヴァーのリンカーンライム第10弾(2014年発売)

派手さはないものの”共謀罪”をテーマに諜報機関絡みで悪くなかったです。恒例の終盤のひねりもあり。

 

「カリブ海の秘密」 アガサ・クリスティー(著)

ミス・マーブルシリーズ

カリブ海リゾートでの静養時に遭遇する3人の死亡事件、犯人探しを始めるが・・!?

 

「マーメイド・オブ・ブラックコンチ」 モニーク・ロフェイ(著)

[2020年] 英国コスタ賞 受賞作

カリブ海地域のマジック(魔術的)リアリズム小説

1976年。カリブ海に浮かぶブラックコンチ島。漁師のデイヴィッドは、伝説の存在である人魚・アイカイアと出会い、惹かれていくが、島の釣り大会でアメリカ人親子がアイカイアを釣り上げてしまう!?・・

カリブ海地域の70年代の混沌などを描いた傑作。

マーガレット・アトウッド(誓願・侍女の物語)も絶賛。

 

「タール・ベイビー」 トニ・モリスン(著)

ノーベル文学賞作家によるラブ・ロマンス

カリブ海に浮かぶ小島で偶然出会った2人。

白人大富豪に育てられ、ソルボンヌ大学を卒業した娘と黒人だけに囲まれフロリダで育った青年。

別世界で育った男女は葛藤しながらも強く惹かれあい!?・・

 

カリブ海が舞台の小説 【あらすじ&レビュー】

「チボの狂宴」 マリオ・バルガス=リョサ(著)

チボの狂宴4.0

ノーベル賞作家のマリオ・バルガス=リョサの傑作小説です。

レビュー

史実とストーリーを絡めて読みやすく面白かったです。

ラテンアメリカ諸国にはびこる独裁。

トゥルヒーリョ体制の醜さなど歴史事実が勉強になるうえに、映画を観ているような読みやすさとストーリーとしての面白さがありました。

チボとは山羊で好色漢のことだそうです。