図書館や古書店など、本に関わるビブリオ小説と呼ばれるジャンルの小説をまとめています。
愛書家など、本を愛する読者におすすめの小説です。
近年のビブリオミステリを中心に、ビブリオファンタジーなども。
ビブリオ小説とは!?
ビブリオミステリとは、本(書籍)が題材のミステリのことを言います。
図書館、出版社、古書店など、様々な場所が舞台の小説があります。
また、推理作家などの小説家が絡んだ小説なども多くあります。
ビブリオ(Biblio)とは、古代ギリシア語で「書物」を意味するそうです。
ビブリオ・ミステリ
国内作家
「本と鍵の季節」 米澤 穂信(著)
直木賞作家による青春図書室ミステリ
「黒牢城」で2021年直木賞を受賞し、「王とサーカス」ではこのミステリがすごい!2016年版【国内編】第1位を獲得している作家の作品。
高校2年で図書委員の堀川次郎は、松倉詩門と図書室で当番を務めている。しかし、彼と付き合うようになってからおかしなことが増えた。。開かずの金庫、亡くなった先輩が読んだ最後の本・・ 図書委員の男子コンビが挑む謎解きミステリ。
続編の「栞と噓の季節」が2022年11月14日に発売されています。
「定価のない本」 門井 慶喜(著)
「銀河鉄道の父」で直木賞を受賞した著者による古書店ミステリ
古書店街として有名な神田・神保町。終戦から間もない時期、崩落した古書に押し潰され、ひとりの古書店主が死んだ・・ 古い付き合いの古書店主、琴岡庄治は事後処理を引き受けるが!?・・
出版社とも図書館とも違う、彼らにしか出来ない方法で書物を守る古書店の人々ーー
2023年映画化も決定しています。
「ビブリア古書堂の事件手帖 ~栞子さんと奇妙な客人たち~」 三上 延(著)
ビブリオ・ミステリの先駆け的存在のライトミステリシリーズ
累計700万部の大人気古書ミステリ
鎌倉の片隅で営業している古本屋「ビブリア古書堂」。古本屋のイメージに合わない若く綺麗な女性の店主。極度の人見知りだが、古書の知識が凄く、古書にまつわる謎と秘密を解き明かしていく・・
過去にテレビドラマ化もされています。
2022年3月には、新シリーズ第3弾となる「ビブリア古書堂の事件手帖III ~扉子と虚ろな夢~」が発売されています。
「ビブリオフィリアの乙女たち」 宮田 眞砂(著)
学園ビブリオミステリ
森鴎外「舞姫」や宮沢賢治「春と修羅」などの文学の解釈も!?・・
図書部員の文詠は、読書感応(サイコメトラー)の文学少女。幼馴染の花奏は、識字障害(ディスレクシア)。2人の探偵少女が本に秘められた謎を追う!?・・
「図書館の殺人」 青崎 有吾(著)
〈裏染天馬シリーズ〉第4弾
9月の朝、風ヶ丘図書館で男子大学生の死体が発見される。。閉館中の館内で山田風太郎の「人間臨終図巻」で撲殺された模様。現場にはダイイングメッセージが残されている。捜査を進めるうち、1冊の本と少女に辿り着くが!?・・
海外作家
「窓辺の愛書家」 エリー・グリフィス(著)
[2020年] エドガー賞受賞「見知らぬ人」著者の最新作
本や出版をテーマに、推理作家達が絡む謎解きビブリオ・ミステリ。
「殺人コンサルタント」を名乗り、推理作家達に協力していた本好きの老婦人が殺される。。ウクライナ出身の介護士ナタルカは死と不審に思い、仲間2人と真相を探り始める。刑事のハービンダーも推理作家達の周辺を調べ始めるが!?・・
「マーダー・ミステリ・ブッククラブ」 C・A・ラーマー(著)
ミステリ好き、クリスティ好きの姉妹、アリシアとリネットの読書会メンバー募集に応えてきたのは、図書館司書、博物館勤務員、医師、主婦など。。しかし、2回目の読書会で主婦のバーバラが現れず、アリシアは捜し始めるが!?・・
最新作「危険な蒸気船オリエント号:マーダー・ミステリ・ブッククラブ」も発売されています。
「図書室の死体」 マーティ・ウィンゲイト(著)
本を愛する人におすすめのミステリ
イングランドの古都バースにある初版本協会のキュレーターである主人公。アガサ・クリスティなどの本の収集家だった故レディ・ファウリングが設立した協会だが、図書室には膨大なコレクションが所蔵されている。その図書室である日、文芸サークルメンバーの死体が発見されるが!?・・
「図書館の死体」 ジェフ・アボット(著)
アガサ賞、マカヴィティ賞の最優秀新人賞
田舎町で図書館の館長を務めるジョーダン・ポティート。そんな彼の図書館で中年女性が死体で発見される。。被害者は、ジョーダンや彼の母親らの名前、聖書からの引用を記したメモを隠し持っていた・・ 容疑者となったジョーダンは犯人探しを始めるが!?・・
「ウィンダム図書館の奇妙な事件」 ジル・ペイトン・ウォルシュ(著)
英国謎解きミステリの傑作
1992年の朝、ケンブリッジ大学の学寮に学寮長が駆け込んで来た。〈ウィンダム図書館〉で、学生の死体が発見されたとのことで。。テーブルの角に頭をぶつけたと見られるが、そばには古書が1冊・・
たんなる事故なのか!? それとも・・
「クロームハウスの殺人」 ヘンリー・ウェイド(著)
探偵小説愛読者の大学講師ジェームズ・フリントが未解決事件に挑む
老齢の富豪を射殺した容疑で告発された男性は本当に殺したのか!?・・本に挟まれた1枚の写真が運命を狂わせる・・
ビブリオファンタジー
「図書館島」 ソフィア・サマター(著)
【世界幻想文学大賞】受賞作
【英国幻想文学大賞】受賞作
デビュー作で4冠の書物と物語をめぐる傑作ビブリオ・ファンタジー
文字を持たない辺境の地に生まれた青年は、世界中の書物を収めた図書館のある島に幽閉される。。彼はそこで、書かれた言葉を信じる人々の戦いに巻き込まれる・・
「図書館の魔女」 高田 大介(著)
さわベス 2018【文庫部門】第1位
全4巻からなるビブリオ・ファンタジー
「永遠の0」百田尚樹(著)をミリオンセラーへ押し上げた岩手の書店「さわや書店」が、2018年、年間1位に挙げた作品です。
史上最古の図書館に暮らす(高い塔の魔女)マツリカに仕えることになる少年キリヒト。古今の書物をひもとき、数多の言語を操ることから「魔女」と恐れられるマツリカは、若い少女だった・・
「深夜0時の司書見習い」 近江 泉美(著)
不思議な図書館で綴られるビブリオ・ファンタジー
札幌の郊外に佇む私設図書館、通称「図書屋敷」。高校生の美原アンは夏休みにホームステイすることになり、真夜中の図書館に迷い込んでしまう。。この図書迷宮で司書を務めることになったアンは「図書館の本を多くの人間に読ませ、迷宮を復興する」よう命じられるが!?・・
本への愛に満ちた《本好きに贈る物語》
「本にだって雄と雌があります」 小田 雅久仁(著)
第3回(2012年)Twitter(ツイッター)文学賞【国内篇】第1位
怪作コメディファンタジー
大坂の旧家の書斎に響く羽音。本だらけの家には「書籍の位置を変えてはいけない」という禁忌があった。。9歳の少年がその掟を破った時、書籍と書籍が交わり、新しい書籍が生まれてしまった!?・・
「地下図書館の海」 エリン・モーゲンスターン(著)
書物の魅力を巡る本格ビブリオ・ファンタジー
大学院生のザカリーは、著者名の記されていない本を図書館で見つける。そこには、誰も知る筈のない自らの少年時代の体験が記されていた。。ザカリーは本の秘密を追い、謎の男に導かれ地下に広がる〈星のない海〉の岸辺にある空間に辿り着くが!?・・
ビブリオ小説
「華氏451度」 レイ・ブラッドベリ(著)
「火星年代記」などSFの巨匠によるビブリオノベル
読書が有害とされ、本が禁制品となっている近未来。主人公のモンターグは、書物を焼き尽くす昇火士(ファイアマン)のひとりとして活動するが、1人の少女と出会い彼の人生が変わっていく!?ーー
「ミッドナイト・ライブラリー」 マット・ヘイグ(著)
真夜中、どん底のノーラの前に現れた不思議な図書館
世界43ヶ国刊行ベストセラー。本を愛する人のための本
仕事をクビになり、猫を亡くし、話を聞いてくれる家族も友人もいない。。頭をめぐるのは後悔ばかりのノーラ。生きている意味がないと衝動的に命を絶とうとするが、目の前には不思議な図書館がーー
そこには、「彼女が選ばなかった」人生の数々が!?--
「図書館」 ゾラン・ジヴコヴィチ(著)
盛林堂書房から注文可能です。
刊行日:2023年2月11日
セルビアを代表する作家のゾラン・ジヴコヴィッチ氏のビブリオ小説。
東欧のボルヘスと呼ばれる作家の本にまつわる不条理な物語が詰まった1冊。
「本のエンドロール」 安藤 祐介(著)
本を作る人達の小説
豊澄印刷の営業・浦本は、本作りに携わる一人の営業マンとして日々、奮闘している。。理想通りに仕事が進まず!?・・
1冊の本が手元に届くまでの関わる人々(作家、編集者、印刷会社、製本会社、装丁家、営業、書店員など..)本を愛する人々の物語。
本がどのようにして作られているのか!?
紙の本への愛着が湧く。本好きの全ての人に読んでもらいたい1冊。
「お探し物は図書室まで」 青山 美智子(著)
2021年【本屋大賞】第2位
ハートウォーミング短編小説
町の小さな図書室。仕事や人生に行き詰まっている5人が訪れた。話を聞いた司書さんは、詩集、絵本、図鑑など一風変わった選書をしてくれる。。自分と向き合い、悩みを解決する物語。
「本を守ろうとする猫の話」 夏川 草介(著)
ベストセラー「神様のカルテ」著者によるビブリオ小説
高校生の夏木林太郎は、幼い頃に両親が離婚し、母の他界で祖父との2人暮らしをしてきた。その祖父が営む古書店の「夏木書店」。しかし、祖父も突然亡くなり、本の整理をしたいた林太郎は書棚の奥で人間の言葉を話すトラネコと出会うが!?・・
ライトノベル
「本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~」 香月美夜(著)
「このライトノベルがすごい!2018年版&2019年版」2年連続 第1位
本好きにおすすめのビブリア・ファンタジー。
小説投稿サイト「小説家になろう」から書籍化され、シリーズ累計500万部を突破した大ヒットライトノベルです。
コミック(漫画)も発売されています。
2022年春には、第3期のテレビアニメが放送されました。
窓辺の愛書家【あらすじ&レビュー】
「窓辺の愛書家」 エリー・グリフィス(著)
英国ミステリらしい謎解きビブリオ・ミステリでした。
謎解きもしっかりしたプロットではないかと感じました。
初読では見逃しがちなどうでもいいように思われる、ちょっとしたシーンにもヒントが埋め込まれています。
また、英国人らしい言い回しも多く、細かく理解出来ればさらに楽しめるのだろうなぁと感じました。
スコットランド第3の街、アバディーンの描写も多く、3人のロードノベル的要素も含まれています。
例えば、「花崗岩の街」(アバディーンは建築物の殆どが花崗岩で作られている)とか、宿泊したB&Bの名前が「炭鉱者労働の腕」(産業革命を支えた炭鉱の街)など、さりげなく街の情報も入っていたりします。
2度読みすると、さらに楽しめるかもしれません。
終盤まで登場人物も、背後で動いている人間も多く、犯人が全くわからない感じです。
犯人が見え出してからも展開があり、最後まで楽しく読める1冊だなと感じました。
前作「見知らぬ人」の主人公クレアの環境も出てくるあたり、前作読者には馴染みも感じられます。