アメリカ(ノースカロライナ、テキサス、ダラス、アトランタなど)中南部が舞台の小説を掲載しています。
アメリカ合衆国のノーベル文学賞受賞者や文学賞についてもまとめています。
アメリカのノーベル文学賞作家は!?
アメリカ作家でノーベル文学賞を受賞している作家をご紹介します。
古くは、「老人と海」のアーネスト・ヘミングウェイがいます。
「エデンの東」「怒りの葡萄」で知られるジョン・スタインベックも受賞しています。
黒人文学の立役者とも言われている「ビラヴド」のトニ・モリスンが1993年に受賞しています。
1930年から数えて、全部で11人(2020年受賞者で12人)となります。
アメリカのノーベル文学賞受賞者は、作家の多さからすると、少ない方ではないかと思います。
ボブ・ディランを除けば、1993年のトニ・モリソン以降、アメリカ作家は誰も受賞していません。
候補作家として最も近いのではないかと言われているのが、「ザ・ロード」「すべての美しい馬」のコーマック・マッカーシーです。
ノーベルを受賞しても表彰式に来ないのではないかと言われているトマス・ピンチョンなども再々、候補となっています。
アメリカの文学賞は!?
米国の文学賞は多くありますが、特に有名なものをご紹介します。
アメリカ探偵作家クラブ(MWA)賞
アメリカ探偵作家クラブ(MWA)賞は、前年にアメリカで発表されたミステリの分野の作品から選ばれます。
アメリカの推理小説界で最も権威ある賞として、名実ともに一流作家としての地位がもたらされます。エドガー賞とも言われています。
全米図書賞
いわゆる純文学といわれるジャンルの中では最高の賞となります。
アメリカで最も権威のある文学賞の1つとも言われています。
複数の出版社グループによって創設され、現在は、全米図書協会に運営されています。
ピュリツァー賞
アメリカ合衆国での新聞、雑誌、オンライン上の報道、文学、作曲などの功績に対して授与される賞です。
ピュリツァー賞の部門の1つに、ピュリツァー賞小説部門があります。
バリー賞
バリー賞は、アメリカの季刊推理雑誌が主催するミステリーの文学賞です。
アメリカの批評家バリー・W・ガードナーに因んで名付けられました。
長編賞、新人賞、英国ミステリ賞、ペーパーバック賞、スリラー賞、短編賞、ノンフィクション賞などがあります。
アメリカ中南部が舞台の小説 【あらすじ&レビュー】
アメリカが舞台の小説から、最近の読了をピックアップしました。
「ザリガニの鳴くところ」 ディーリア・オーエンズ
本屋大賞2021【翻訳小説部門】第1位
みんなのつぶやき文学賞【海外編】第1位
ノースカロライナの湿地に暮らす少女の成長譚。ミステリー
2019年アメリカで最も売れた小説
1969年に見つかった死体の捜査と1952年からの少女の成長時期が交互に近い感じで描かれています。
レビュー
自然や湿地に息づく動物達の描写が頻繁に挟まれていて、アメリカ南部の湿地(自然)を感じられる小説でした。
意外とミステリーっぽくなく、少女の成長譚(純文学?)って感じです。
そこに、ミステリーがちょっとしたスパイスとなっています。
ミステリーの要素は全体の3割程度で、終盤の150ページくらいまでは少女の成長小説という感じで、ミステリー要素は1割程度です。
動物学者らしく、野鳥や動物、湿地に息づく生き物達の描写が豊富でした。
雌キツネ、シカ、セグロカモメ、クジャク、ホタル、カエル、カマキリ、家に住み着いたスカンクなど..
終わり方も「そう来るか・・」という感じで、ミステリ的にも珍しい感じが良かったです。
「グッド・ドーター」 カリン・スローター
新ミステリーの女王とも言われるカリン・スローターのミステリー/クライムノヴェル、家族小説
アメリカ南部、アトランタ近郊のジョージア州パイクビルが舞台
レビュー
アメリカ南部の事情を味わえる小説としても、物語としても、普通に面白かったです。
アトランタ近郊のジョージア州の田舎町の雰囲気(貧困や子供達の教育、品性など)が伝わってくる小説でした。

ドラマとして楽しめました。
出だしの事件とは別に28年後も事件で始まり、事件の刺激が多く、飽きずに読めます。
ミステリー要素の謎としては、「中学校での銃乱射の時の状況がどうだったのか!?」というのが主軸で、それ以外の事件の犯人も謎解きの要素としてあります。
犯罪に向き合う犯罪被害者の心情など響くものがあり、悲惨な場面も多くあるけれど、最後には温かいものもあり、少し感動しました。
「そしてミランダを殺す」 ピーター・スワンソン
このミス2019年版第2位 / 週刊文春ミステリ第2位 / ミステリが読みたい!2019年版第2位
2019年版の各種ミステリ賞2位を独占したボストン近郊のミステリーです。
カササギ殺人事件と合わせて1位、2位を軒並み独占していました。
中盤くらいから先行きが読めなく、けっこう面白かったです。
2転3転し、視点が変わったりとミステリーを堪能したという感じでした。
「11・22・63」 スティーヴン・キング
穴から過去に戻りケネディ暗殺を阻止するという物語です。
物語というか、ひと昔前のダラスの街の歴史描写が良かったです。
鬱蒼とした湿地帯からできた街という雰囲気(世界観)は味わえました。
個人的に物語は面白く感じませんでしたが、ケネディ暗殺に興味ある人にはおすすめだと思います。
「生か、死か」 マイケル・ロボサム
2015年英国推理作家協会賞(CWA賞)ゴールドダガー賞
テキサスの刑務所を釈放1日前に脱走するミステリー
amazonで「傑作」「映画化希望」とか評判良かったから読んでみました。
街描写や政治絡みはないけど、次第に浮き彫りになる巨悪がミステリとしてはよく出来ていて、まあまあ面白かったです。
「天国の南」 ジム・トンプスン
テキサスが舞台のプロレタリアン・ノベル
ノワール小説ではなく、トンプスンには珍しい労働者小説(プロレタリア文学)です。
レビュー
石油パイプライン現場の物語で、そこそこ面白かったです。
パイプライン敷設工事での過酷な労働環境の話です。自伝のような小説でした。
石油パイプラインで働いたことのある著者だからこそ書けた小説だと思います。
テキサスという地での暗黒のような労働実態が世界観が出ていて良かったです。
以前読んだ、北欧ミステリの巨匠へニング・マンケルの「北京から来た男」の大陸横断鉄道の敷設現場の過酷さと似たような感じがしました。
「殺意」 ジム・トンプスン
舞台は、ニューヨークから電車で数時間のリゾート地マンドウィック
この田舎町に住む人々がそれぞれ1人称で話す面白い形式の小説です。
12人の語り手がそれぞれの章の主人公で、それぞれの登場人物の心の内の話を聞くように読み進められます。
レビュー
一見、傍から見ると、医者や実業家、郡検事、弁護士などいい職業についている人達ですが、小さな町ならではの密接な人間関係や親子関係など悩みと苦悩が浮き上がっています。時代性(人種差別など)も見え隠れします。
そんな中で「殺意」というミステリ要素があり、面白かったです。
斜め向こうから突如名前が出てくる容疑者が、『えー!?』っていうラスト1ページですが、誰が犯人でもあまり問題ではない面白さを感じました。
「2019年このミステリーがすごい」で1位に選出している書評家もいました。
おわりに
米国(アメリカ合衆国)のノーベル文学賞や文学賞などについてまとめました。
読了レビューは、中南部の小説を中心に(NYC、LAは別ページを作成中)掲載しています。
「メキシコが舞台の小説」の記事も書いています。
「ロードノベルのおすすめ小説20選」の記事も書いています。