メキシコが舞台の小説一覧「ザ・ボーダー」「テスカトリポカ」など

メキシコ小説

中南米のメキシコを舞台にした小説や作家についてまとめています。

メキシコはスペイン語圏なことから、セルバンテス賞を受賞している作家が多いのも特徴です。

メキシコ麻薬戦争の「ザ・ボーダー」の《あらすじ&レビュー》も書いています。

メキシコが舞台の小説!?

1990年受賞のノーベル文学賞詩人オクタビオ・パスがいます。

1981年には、スペイン語圏の文学に贈られるセルバンテス賞も受賞しています。

1987年には、カルロス・フエンテスもセルバンテス賞を受賞しています。

カルロス・フエンテスの作品に、革命下のメキシコを舞台に描く「老いぼれグリンゴ」や多様な人種と社会階級が混在するメキシコ・シティを舞台にした「澄みわたる大地」などがあります。

「テラ・ノストラ」で、ラテンアメリカ文学最高の名誉とされるロムロ・ガジェーゴス賞を受賞しています。

 

その他のメキシコが舞台の小説

「死者の日」というティファナを舞台にしたノワール小説の傑作があります。

20世紀メキシコの時代を背景にしたセルヒオ・ピトルの「愛のパレード」などもあります。

 

メキシコだけを舞台にしているわけではなく、日本人作家の小説ですが、「テスカトリポカ」が話題となっています。

第165回(2021年上半期)直木賞を受賞しました。

アステカ文明の神話、メキシコ麻薬カルテルなどの描写も豊富で壮大なクライムノベルです。



メキシコ麻薬戦争「犬の力」3部作とは!?

メキシコを舞台にしたメキシコ麻薬戦争の傑作「犬の力」3部作とは、アメリカの作家ドン・ウィンズロウによる壮大なクライムノヴェルです。

犬の力 上
角川書店(角川グループパブリッシング)
発売日:2009/8/25

このミステリがすごい!2010年版《海外編》で第1位になっています。

 

第2弾の「ザ・カルテル」も評判が上々で、このミステリがすごい!2017年版《海外編》で第2位となっています。

第3弾の最終作「ザ・ボーダー」で幕を閉じました。

 

「ザ・ボーダー」 あらすじ&レビュー

「ザ・ボーダー」 ドン・ウィンズロウ(著)

ザ・ボーダー5.0

メキシコを中心とした30年に及ぶ壮絶な麻薬戦争「犬の力」「ザ・カルテル」から続く3部作の最終章

あらすじ

麻薬カルテル組織(シナロアカルテル)のボス、アダン・バレーラ亡き後、その子供達の世代がボスの座を狙います。第3世代の世継ぎ争いが物語りの根幹です。

差し当たりアダンの右腕だった男(ヌニェス)がボスになるが、シナロアカルテルの3巨頭のそれぞれの息子達、リック、イバン、ダミアンにアダンの妹エレナ、エスパルサの警護隊長だったティトなど、5つ巴の様相となり世継ぎ争いが混沌としてくる。

そこに、第1世代の生き残りラファエル・カーロが絡んできます。

アメリカの合法化により大麻・コカインでの利益が厳しくなってきたカルテルは、ヘロイン市場に手を出し始める。

ニューヨークに蔓延するヘロイン流通を、ニューヨーク市警が囮捜査で調べる。大統領選に出馬する娘婿と麻薬資金が繋がっていることを突き止める。

シリーズ通して主人公であるアメリカの麻薬取締局(DEA)捜査官局長のアート・ケラーは、どう立ち向かっていくのか・・・

ヘロインの本場ニューヨークのおとり捜査、アメリカ麻薬商の刑務所内の話、グアテマラのスラムの少年のメキシコ〜アメリカへのロードノヴェルのような話、大統領選とカルテルとの裏の繋がり、メキシコカルテルからニューヨークのヘロインの流通など、様々な話が入っています。

アイリッシュ系でニューヨークのチミーノ一家と結託し殺し屋組織の頭目になったショーン・カランやアメリカ人で唯一カルテルのボスに昇りつめたことのある麻薬商エディ・ルイスなどお馴染みのキャラクターも登場します。

「ザ・カルテル」や序盤に頻繁に出てくるセータ隊は、実在するメキシコ最大の麻薬カルテル「ロス・セタス」のことです。

メキシコの犯罪組織、ロス・セタスに関する10の不穏な事実 : カラパイア
  ロス・セタスはメキシコの麻薬カルテルで、高度な犯罪の手口...

 

「ザ・ボーダー」のレビュー

ザ・ボーダー

世界一危険な都市「シウダード・フアレス」サンディエゴとの国境の「ティファナ」メキシコ湾に近い「ヌエボラレド」の3つの主要な国境(ボーダー)などカルテルの勢力事情と国境事情はさみつつ

レビュー

大傑作でした。小説(架空の物語)を読んでいるのか、現実を読んでいるのかわからなくなるくらい、アメリカやメキシコの抱える現実の問題点などがわかる1冊だと感じました。

アメリカが陸続きのメキシコとの国境線を注視するように、メキシコもグアテマラ、ホンジュラス、エルサルバドルからの流入問題が切実だという現実問題がわかりました。

アメリカとメキシコの麻薬問題と世の中の実情社会問題を読んでいるようですごくよかったです。

「犬の力」から続くカルテル組織の第3世代の新たな世代が中心ですが、最終章にふさわしく前2作を凌ぐ面白さだと思いました。

上巻後半の会合は、ゴッドファーザーのようで非常に面白い

出来事や人名は架空にしても、実在する組織や街の描写、アメリカとメキシコの関係、グアテマラの現状など、ほぼ現実に近い感じなんだろうと思いました。

上巻だけで765ページ、上下巻で1570ページもあるよ

ザ・ボーダー 上
ハーパーコリンズ・ジャパン
発売日:2019/7/17

 

まとめ

中米文学やメキシコが舞台の小説をまとめました。

「犬の力」「ザ・カルテル」も素晴らしかったですが、個人的には、最終作の「ザ・ボーダー」が1番面白く、傑作だと思いました。

メキシコとアメリカの関係はもちろん、グアテマラ、ホンジュラス、エルサルバドルなどの中南米からの麻薬の流れなど、メキシコ麻薬戦争だけでない現実も知れたように思います。

 

「ドン・ウィンズロウの著作」についてもまとめています。

 

「南米(ラテンアメリカ)文学」の記事も書いています。

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