2022年のエドガー賞(アメリカ探偵作家クラブ)が2022年4月28日に発表されました。
優れたミステリー小説に与えられる歴史のある文学賞です。
2021年エドガー賞の受賞作品と歴代の受賞作をまとめています。
エドガー(MWA)賞とは!?
エドガー(MWA)賞は、アメリカの文学賞で、優れたミステリー小説に与えられる賞です。
前年にアメリカで発表されたミステリーが対象となっています。
エドガー賞の名前の由来は、推理小説の始祖でもある文豪エドガー・アラン・ポーにちなんでいます。
アメリカ(米国)の推理作家の団体であるアメリカ探偵作家クラブによって発表されます。
別名:「アメリカ探偵作家クラブ賞」とも言われます。
古くは、レイモンド・チャンドラーの「The Long Goodbye(長いお別れ)」やジョン・ル・カレの「寒い国から帰ってきたスパイ」などの受賞作があります。
どんな部門がある!?
- 長編部門
- 処女長編部門
- 短編部門
- オリジナルペーパーバック部門
- ヤングアダルト部門 etc..
【最優秀長編部門】が、一般的に馴染みがあるかもしれません。
2022年(最新)エドガー賞(MWA)受賞作
最優秀長編賞
「Five Decembers」 James Kestrel(著)
メアリー・ヒギンズ・クラーク賞
「Clark and Division」 平原 直美(著)
2022年エドガー賞のメアリー・ビギンズ・クラーク賞に、日系人作家の平原直美さんが選ばれました。
メアリー・ヒギンズ・クラーク賞は、「サスペンスの女王」と言われたメアリ・H・クラークが「主人公が若い女性であること」「その女性の日常が突然冒されること」など7つのガイドラインに定められているそうです。
現在は英語版のみですが、小学館から翻訳刊行予定となっています。
翻訳ミステリ大賞2022でも最終候補作になっている「ヒロシマ・ボーイ」の作家です。
2021年 受賞作
最優秀長編賞
「ブート・バザールの少年探偵」 ディーパ・アーナパーラ(著)
インド社会の闇を描いた傑作
スラム居住区(バスティ)に住む少年から見るインドの現実。
処女長編賞
「塩の湿地に消えゆく前に」 ケイトリン・マレン(著)
2022年1月発売のエドガー賞【処女長編賞】受賞作
オリジナル・ペーパーバック賞
「ブルックリンの死」 アリッサ・コール(著)
ストランド・マガジン批評家賞[最優秀新人賞] 受賞
2022年3月に発売になりました。
2020年 受賞作
最優秀長編賞
「見知らぬ人」 エリー・グリフィス (著)
著者は、英国推理作家協会(CWA)賞の受賞作家でもあります。
原題は「The Stranger Diaries」でした。
↓↓↓ページ下部に、読了レビューを記載しています。
処女長編賞
「ミラクル・クリーク」 アンジー・キム(著)
エドガー賞[最優秀新人賞]&国際スリラー作家協会[最優秀新人賞] 二冠
処女長編部門ノミネート作品
「刑事失格」 ジョン・マクマホン(著)
2021年1月7日発売となっています。
オリジナル・ペーパーバック賞
「ホテル・ネヴァーシンク」 アダム・オファロン・プライス(著)
リアルサウンド認定2021年度翻訳ミステリーベスト10【第1位】

過去のエドガー賞受賞作!?
歴代のエドガー賞の受賞作(10年分)を掲載します。
「流れは、いつか海へと」 ウォルター・モズリイ(著)
アメリカの暗部を含んだ探偵小説。
↓ ページ下部に簡単なレビューを書いています。
「ブルーバード・ブルーバード」 アッティカ・ロック(著)
英国推理作家協会スティール・ダガー賞 受賞
【このミステリがすごい!2020年版】海外編 第5位
「晩夏の墜落」 ノア・ホーリー(著)
「地中の記憶」 ローリー・ロイ(著)
「ミスター・メルセデス」 スティーヴン・キング(著)
スティーヴンキングの初のミステリー小説とも言える作品です。
【このミステリがすごい!2017年版】海外編 第3位
「ありふれた祈り」 ウィリアム・K・クルーガー(著)
「夜に生きる」 デニス・ルヘイン(著)
「喪失」 モー・ヘイダー(著)
「解錠師」 スティーヴ・ハミルトン(著)
【このミステリがすごい!2013年版】海外編 第1位
エドガー賞受賞作 【あらすじ&レビュー】
「見知らぬ人」 エリー・グリフィス(著)
2020年エドガー(アメリカ探偵作家クラブ)賞の最優秀長篇賞受賞作
英語教師が殺害される。犯人探しをするうち、殺人がヴィクトリア朝時代の作家ホランドの「見知らぬ人」を利用した見立て殺人だとわかるが!?・・
レビュー
英語教師を中心にした学校などの密接な人間関係のフーダニットのミステリで普通に面白かったです。
ただ、事件とは関係なさそうなプライベートの話なども多く、先が気になる人には冗長に感じなくもないかもしれません。
歴史、地理描写などは全くなく、ただストーリーを楽しむという感じです。
終盤まで犯人がわからない作りで、英語教師、その娘、警部の3人の視点で語られる。
高難度の犯人探しだが、もうちょっと情報があってもいいのでは?と思わなくもなかったです。
ミステリとしては「情報の少ない人物を犯人にするのはちょっと・・」と思っているタイプなので、本作の評価としました。
「見知らぬ人」の面白いトークイベントの動画があるので、リンクしておきます。
「流れはいつか海へと」 ウォルター・モズリィ(著)
探偵小説 2019年エドガー賞の最優秀長篇賞
レビュー
ミステリーというよりは、探偵小説という感じです。
ヘロイン流通や売春、悪徳警官、人種差別など、巨大都市ニューヨークの片隅で起こっている街の暗部が見えてくる感じが悪くはなかったです。
比較的薄い冊子で、気軽にいっき読みのできる1冊でした。
おわりに
2020年のエドガー賞(アメリカ探偵作家クラブ賞)の受賞作と歴代の受賞作をまとめました。
エドガー賞の名前の由来は、ミステリ小説の巨匠「エドガー・アラン・ポー」からきていると言われています。
1990年~2007年までの最優秀短編賞の受賞作を収録
2020年の長編部門の最終候補作「Good Girl, Bad Girl」は、英国推理作家協会(CWA)賞受賞作で、エドガー賞最終候補の常連作家マイケル・ロボサムの作品です。
「生か、死か」マイケル・ロボサム(著)の読了レビューも書いています。
バザールや地下鉄を捜索するうち、想像を遙かに超える現実が・・