Eテレの名著解説番組「100分de名著」の取り扱い作品が、100作品に到達しました。
この番組のテキストがおすすめなので、内容レビューなどを書きました。
多くの名著が取り上げられてきましたが、注目のテキストをまとめました。
100分de名著とは!? 放送時間は!?
「100分de名著」は、NHKのEテレで放送されている名著の解説番組です。
テキストと共に小説の解説を行なっています。
小説(特に名著)を理解するうえで大変ためになる番組です。
1回の放送が25分で、1ヶ月かけて4回の放送で100分になることから「100分de名著」という番組名になっています。
難解でわかりにくい物語や最後まで読みきれないような小説について全4回で解説してくれます。
そんな100分de名著の取り扱い作品が、2020年8月に100作品となりました。
「100分de名著」のおすすめテキスト
2021年6月放送は「華氏451度」
レイ・ブラッドベリの不朽の名作「華氏451度」が2021年の6月に放送されました。
ディストピアSFの名作として見逃せないのではないでしょうか
「アーサー・C・クラーク」スペシャル!?
2020年の3月に「アーサー・C・クラークスペシャル」が放送されました。
アーサー・C・クラークといえば「2001年宇宙の旅」が有名ですが、「太陽系最後の日」「幼年期の終わり」「都市と星」「楽園の泉」などを扱っていました。
「NHK100分de名著~ペスト~」 アルベール・カミュ
NHKのEテレで放送されている本の解説番組「ペスト」のテキストです。
カミュの名作「ペスト」の解説がされたテキストでおすすめです。
テキストの内容レビュー
「ソラリス」 スタニスワフ・レム(著)
西にナチス、東にソ連と歴史に翻弄されてきたポーランドのルヴフ生まれのスタニスワフ・レムのユダヤ人作家らしいメタファーが所々に散りばめられているSF作品の解説テキストです。
メタ科学としてのソラリス学が見えてきます。
ソラリスの物語で最も大きな謎とも言える宇宙船内の”お客さん”
この”お客さん”の正体についても解説されています。
存在感があるのは、惑星の海。この海の実態に迫る記述もあります。
他にも、「自分とは何か!?人間とは何か!?」「絶対的他者を理解すること」「欠陥を持った神」といった哲学的なテーマを解説しています。
本編でのモヤモヤが少し晴れるような説明がされています。
ソラリスは個人的にも非常に好きな作品ですが、難解さからモヤモヤ感はありました。
このテキストを読むことで、よりソラリスの物語の奥深さを知り、作品以上に楽しめた気がします。
「ソラリス」の解説書がおすすめ!?
2017年の12月には、スタニスワフ・レムの「ソラリス」が取り上げられました。
難解な小説を紐解く、解説番組のような番組です。
全4回視聴し、テキストも読みましたが、「本編よりも面白いのではないか!?」と思えるほどの内容だったので、掲載しておきます。
「薔薇の名前」 ウンベルト・エーコ(著)
イタリアの記号学者ウンベルト・エーコの「薔薇の名前」のテキストもおすすめです。
「1991年このミステリーがすごい!」で海外編1位の傑作、中世修道院ミステリーです。
ショーンコネリー主演の映画でご存知の方も多いと思います。
「笑い」に対する論争などの哲学的なことやアリストテレス「詩学」がエーコに与えた影響、中世修道院における図書館の役割など、様々なテーマが内包されていて、本編をより楽しめるテキストになっています。
「異端」についてなど、ただの推理小説ではなく、様々な要素が絡んでいる作品だということが改めて分かります。
「修道院」や「図書館文書庫」の平面図もあり、イメージが分かりやすく具現化されています。
作中に出てくるホルヘがホルヘ・ルイス・ボルヘスのモデルというのは有名な話ですが、ボルヘスの「バベルの図書館」と「薔薇の名前」の関係についても書かれています。
「カラマーゾフの兄弟」 ドストエフスキー(著)
2019年の12月にドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」が放送されました。
ロシア文学の最高峰とも言われ、ドストエフスキーの最高傑作とも言われています。
テキストでは、特に時代背景を規定した箇所が参考になりました。
小説が書かれた時代背景を推察し、アレクサンドル2世暗殺未遂犯のドミートリー・カラコーゾフに触れている部分があります。
アレクサンドル2世といえば、サンクトペテルブルグの観光名所として有名な”血の上の教会”で有名な皇帝です。
また、「魂に救いはあるか」「神は存在するか」などの有神論、無神論の哲学的なことも解説されています。
大審問官の箇所の解説なども参考になりました。
その他の名作テキスト
「100分de名著」は番組が面白いのはもちろんですが、細かく説明が書いてあるテキストが非常におすすめです。
番組で扱われている作品は全てが名著なので、挙げると全部ということになってしまいますが、その中でも敢えて注目の作品のテキストを掲載します。
ロシアの文豪ドストエフスキーの不朽の名作「罪と罰」
中国の歴史ものの不朽の名作「三国志」もおすすめです。
戦争ものでは、大岡昇平の代表作「野火」も取りあげられました。
なかなかどギツイ描写もありますが、戦争文学として不朽の名作です。
おわりに
100分で名著のテキストについてまとめてみました。
テキストは約500円と低価格ながら、非常に中身の濃い内容となっています。
本編以上に楽しめる内容とも言えるかもしれません。
番組では聞き逃しがちな細かい注釈が付けられて、ページ下部に説明が多く載っているので、後から見返しても勉強になります。