【ラテンアメリカ文学&南米ミステリ小説】ノーベル文学賞作家など

南米(ラテンアメリカ)文学には素晴らしい小説がいくつかあります。

ノーベル文学賞作家のガルシア=マルケスやマリオ・バルガス=リョサを筆頭に、アルゼンチンのボルヘスやチリのボラーニョが有名です。

そんな、ラテンアメリカ文学から、南米出身作家と舞台の小説を掲載。

ペルー作家の小説

マリオ=バルガス・リョサ

【ノーベル文学賞】受賞作家

最新作はアイルランド独立の英雄を描いた「ケルト人の夢」です。

ノーベル文学賞作家マリオ=バルガス・リョサは、南米を代表する作家です。2023年に87歳になる歳でも精力的に作品を発表しています。

他に「緑の家」「都会の犬ども」「チボの狂宴」などの作品も有名です。

ペルーが舞台の小説に、「シンコ・エスキーナス街の罠」があります。

1990年、自身が大統領選で争ったこともあるペルーのフジモリ大統領を絡めたサスペンスフルな作品です。

 

その他の作家

《魔術的リアリズム》創始者の1人である作家の代表作

現代ラテンアメリカ文学最高傑作の一つとも言われ、「ラテンアメリカ十大小説」に選ばれている1冊

大都会で過ごす音楽家が、インディオの原始楽器を探しに行くよう依頼され、オリノコ河上流へ出発。近代から未開へ時間が逆行する旅を描く。

 

コロンビア作家の小説

ガブリエル・ガルシア=マルケス

【ノーベル文学賞】受賞作家

長編「百年の孤独」などで、ラテンアメリカ文学を、一層、世界に知らしめた巨匠。

「百年の孤独」「族長の秋」「予告された殺人の記録」などの作品。

 

「悪い時」 ガブリエル・ガルシア=マルケス(著)

悪い時
光文社
発売日:2024/11/12

ノーベル文学賞作家によるコロンビア社会の姿

「暴力時代」後のコロンビア社会を描く、死体と腐臭と謎に満ちた物語

10月の雨の朝、殺人事件に関係しているビラにより、息苦しく不気味な雰囲気が街全体を覆っていく。。見せかけの平和を維持する側と弾圧に耐える双方の姿とは!?ー

 

「出会いはいつも八月」 ガブリエル・ガルシア=マルケス(著)

ノーベル文学賞作家の未完の傑作

ひとりの女性が島で営む、秘密の行為とは!?ー

幸せな結婚生活をおくるアナだが、誰にも言えない秘密があった。年に1度訪れるカリブ海の島で、現地の男と1晩限りの関係を結び!?・・ 圧巻のラスト。

 

若き日の貧苦、ジャーナリストとしての日々、政治的セレブリティたちとの交流、ノーベル賞受賞の裏話など、ガルシア=マルケスの生涯に迫る「ガブリエル・ガルシア=マルケス ある人生」もおすすめです。

 

その他の作家

雌犬
国書刊行会
発売日:2022/4/25

2020年【全米図書賞】翻訳部門 最終候補

トロピカル・ゴシック

アルファグアラ賞(スペイン語圏最高の文学賞のひとつ)受賞作家。



アルゼンチン作家の小説

ホルヘ・ルイス・ボルヘス

アルゼンチンの作家で、ウンベルト・エーコの傑作「薔薇の名前」にもモデルとして出てくる南米を代表する文豪です。

代表作に「伝奇集」「砂の本」などがあります。

 

初訳で、ボルヘス最後の作品となった短編集「シェイクスピアの記憶」も。

 

その他の作家

「英雄たちの夢」 アドルフォ・ビオイ・カサーレス(著)

アルゼンチン作家の幻想、リアリズム小説

1927年、ブエノスアイレスの街。エミリオ・ガウナは、カーニバルに沸く街で、人生を大きく変える出来事に遭遇する。3年後、再び、カーニバルの夜に街に繰り出すが!?・・

 

「吹きさらう風」 セルバ・アルマダ(著)

注目作家の世界的話題作

1人の牧師が、アルゼンチン辺境で布教の旅を続ける。しかし、車の故障で整備工場にたどり着く。牧師、彼が連れている娘、整備工、少年の4人は、車の修理の間、短い時間を共にするが!?・・ それぞれが抱える人生の痛みを描き出すーー

 

最近の小説では、アルゼンチンミステリの傑作と言われているブエノスアイレスが舞台の「ブエノスアイレスに消えた」などがあります。

 

アルゼンチン・ノワールの旗手による人間ドラマ

19世紀末、アルゼンチン軍事政権下、軍事クーデターに翻弄される食堂とアルゼンチンの歴史。

双子の料理人が残した「南海の料理指南書」の運命、絶品料理、猟奇的事件が絡む異色作。

 

「星の王子さま」で知られるサン=テグジュペリの名作

夜間飛行に従事する人達の物語。

ブエノスアイレスの描写も豊富な1冊。

北のパラグアイ、西のチリ、南のパタゴニアから、目的地のブエノスアイレスに郵便飛行機が夜の中を飛行する。。

 

「寝煙草の危険」 マリアーナ・エンリケス(著)

このホラーがすごい!2024年版【海外篇】第1位

[2021年度] 国際ブッカー賞最終候補作

アルゼンチン文学の頂点に君臨する作家の12篇の短編集

ゴシカルな恐怖小説。近年一大ブームとなっている〈スパニッシュ・ホラー文芸〉(スペイン語圏の不安や恐怖を描いた作品群)は、注目すべき熱い文芸ジャンルになってきています。

 

ブラジル作家の小説

クラリッセ・リスペクトル

星の時
河出書房新社
発売日:2021/3/26

[2022年] 日本翻訳大賞 受賞作

地方からリオのスラム街にやってきた女の人生を語る物語。

リオのスラム街でタイピストとして暮らし、ホットドッグとコーラが好きな女は「不幸であることを知らない・・」しかし、その物語は栄光の瞬間へと導かれていくーー

「ブラジルのヴァージニア・ウルフ」とも評される作家の文学的な作品。

 

パウロ・コエーリョ

ブラジルの作詞家・小説家で、スピリチュアル系の作品が豊富です。

「アルケミスト」が有名ですが「星の巡礼」「11分間」なども人気。

また、第一次大戦下のフランス、女性二重スパイの史実を元にした「ザ・スパイ」などの作品もあります。

 

その他の作家

巨匠・船戸与一による最高傑作

南米3部作の第1弾

ブラジル東北部の町エクルウ。アンドラーデ家とピーステルフェルト家による抗争で血なまぐさい町。そんな折、アンドラーデ家の息子・フェルナンとビーステルフェルト家の娘・カロリーナが駆け落ちをする・・そこに現れた山猫(オスロット)と呼ばれる謎の日本人。。捜索を依頼され、血塗られた追走劇を始めるが!?・・

 

「世界終末戦争」 マリオ バルガス=リョサ(著)

ノーベル文学賞作家の代表作

19世紀末、ブラジルの辺境で実際に起きた宗教戦争をテーマにした小説。

カヌードスの宗教共同体とブラジル共和国軍との戦い(カヌードス紛争)を下敷きにしたルポルタージュのような作品。

 

「ワールドカップ殺人事件」 ペレ(著)

サッカーの神様「ペレ」によるスポーツミステリ小説

世界最大のサッカー大会ワールドカップ。決勝まで進んだ開催国のアメリカ。しかし、競技場内でプロチームのオーナーが殺される。。死体の頭部にはスパイクの跡が!? スポーツ記者のマークは恋人を救うため、真犯人の捜索を始めるが!?・・

 

「ロスト・スピーシーズ」 下村 敦史(著)

「闇に香る嘘」で、2014年、江戸川乱歩賞を受賞した著者のサバイバル冒険ミステリ

大手製薬会社のクリフォードは、がんの特効薬になる幻の植物「奇跡の百合」を見つけるため、南米アマゾン奥地への探索チームを結成する。植物研究者の三浦は、ボディガート、植物ハンター、環境問題に取り組む大学生と共に、アマゾンに分け入ってゆくが!?・・ 緑の地獄ともいえる過酷な自然と対峙し!?・・



チリ作家の小説

ロベルト・ボラーニョ

2666
白水社
発売日:2012/9/26

ボラーニョ文学の遺作で集大成

謎の作家を研究する4人の文学教授。バラバラな物語から全体像が浮かび上がる!?・・

ぶ厚い冊子で、2段組の重厚な小説です。

 

他の作品に、「チリ夜想曲」「第三帝国」などがあります。

 

その他の作家

1970年代のチリが舞台。

ノーベル賞を受賞した国民的詩人パブロ・ネルーダを題材にした作品。

メキシコ、キューバ、東ドイツ、ボリビアへ続く調査行

 

パラグアイ作家の小説

「汝、人の子よ」 ロア=バストス(著)

パラグアイが舞台のマジック・リアリズム文学

アウグスト・ロア=バストスは、パラグアイで最も名の知れた作家です。

パラグアイの戦争・反乱・独裁など歴史がわかる傑作。

3国同盟戦争(ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイとの)、ボリビアとのチャコ戦争など、周辺諸国と紛争をくり返していた時代。

パラグアイ独立運動の指導者で初代元首ホセ・ガスパル・ロドリゲス・デ・フランシアの奴隷だった老人は語る・・

 

ベネズエラが舞台の小説

「伝説なき地」 船戸 与一(著)

南米3部作の第3弾

作家・ 船戸 与一の「ブラジル」「ペルー」に続く、ベネズエラ篇

伝説も生まれぬベネズエラの涸れた油田地帯。多数の難民が住みつく土地から希土類(レア・アース)という超伝導素材が大量に発見される。巨億の利権に目が眩んだ男達の殺戮劇が始まるが!?--

 

ガイアナ共和国が舞台の小説

「名探偵のいけにえ:人民教会殺人事件」 白井 智之(著)

[2023年版] このミステリがすごい!【国内編】第2位

カルト宗教絡みの謎解きミステリ

1978年、南米ガイアナで起きた人民寺院事件をモデルした推理小説。

密室推理など、連続殺人のミステリとどんでん返し。

ガイアナ共和国のジョーデンタウンでの滞在日数ごとに進む物語。

2022年話題になったおすすめの1冊です。

 

南米作家の小説 【あらすじ&レビュー】

「予告された殺人の記録」 ガブリエル・ガルシア・マルケス(著)

予告された殺人の記憶3.0

ノーベル文学賞作家のリアリズム小説。

コロンビアの架空の街を舞台に起こる共同体の崩壊

 

レビュー

ストーリー自体はそれ程でもないけど、構成が優れていて言葉や文体が緻密で文学的でした。本人曰く最高傑作だそうです。

冊子が薄く、難しくないので、ラテンアメリカ文学の入門としてもおすすめです。

 

南米(ラテンアメリカ)文学の特徴!?

過去にラテンアメリカ文学ブームもありました。

南米(ラテンアメリカ)文学には、マジックリアリズム(魔術的リアリズム)小説が多いという印象のある方も少なくないのではないでしょうか。

魔術的(マジック)リアリズム小説とは!?

魔術的(マジック)リアリズム小説とは、非現実(魔術)と現実(リアリズム)が融合した作品に対して使われる芸術表現技法です。

例えば、独裁などの歴史的事実と架空の村を舞台とした内容が混在しているような小説などがあります。

ドキュメンタリーではありませんが、限りなく現実(日常)にのっとった内容で、ためになる歴史小説などがあります。