中央ヨーロッパのポーランドの小説にはどういったものがあるのでしょうか!?
非英語圏のミステリーとして、翻訳小説も少しずつ増えてきています。
そんな、ポーランドの文学、作家、ミステリーなどをまとめています。
ポーランドの作家と文学
スタニスワフ・レム
スタニスワフ・レムは、ポーランドのルヴフ(現・ウクライナ・リヴィウ)生まれのユダヤ人作家です。
20世紀SF最高の作家の1人と言われています。
2021年に生誕100周年を迎え、レムイヤーと言われています。
代表作に、SFの金字塔的作品とも言われる「ソラリス」などがあります。
他にも、SF系統の「ソラリスの陽のもとに」「砂漠の惑星」「エデン」の3部作やミステリー系統の「天の声・枯草熱」などがあります。
「ソラリス」は、Eテレの名著を紹介する番組「100分de名著」でも取り上げられました。100分de名著のテキストもおすすめです。
オルガ・トカルチュク
2018年のノーベル文学賞作家に、オルガ・トカルチュクが選ばれました。
「逃亡派」は、いくつかの短編からなる旅好きにおすすめの小説です。
「昼の家、夜の家」や「プラヴィエクとそのほかの時代」などもあります。
「昼の家、夜の家」は、チェコとの国境地帯にある小さな町を舞台に幻想的な物語となっています。
「プラヴィエクとそのほかの時代」は、ポーランドの南西部、国境地帯にある架空の村プラヴィエクを舞台に、人々の生活模様を描いたマジックリアリズム的な小説です。
ポーランド・小説
「人形」 ボレスワフ・プルス(著)
第4回(2018年)日本翻訳大賞受賞作
19世紀中頃のワルシャワを舞台にした名作。ポーランドの貴族など、中世の世相がリアルに描かれている小説です。1冊で1248ページもあります。
「モスカット一族」 アイザック・バシェヴィス・シンガー(著)
ノーベル文学賞作家の大巨編
20世紀初頭、ポーランド・ワルシャワ。戦争と近代化にゆれるユダヤ人社会。3世代に渡る伝統的家族社会は、内部から崩壊していく!?・・ ポーランド独立回復を目指す蜂起、ポーランド・ソヴィエト戦争、ナチスの侵攻などを背景にーー
「また、桜の国で」 須賀 しのぶ(著)
第4回(2017年)高校生直木賞 受賞作
ポーランドの第2次世界大戦の様子を描いた小説
1938年、外務書記生の棚倉慎は、ポーランドの日本大使館に着任する。ナチス・ドイツの脅威からポーランド孤児達のつくった極東青年会と協力しながら戦争回避に奔走するが!?・・
20万人の犠牲者が出たワルシャワ蜂起などポーランドの苦難の歴史。。
「昼の家、夜の家」 (著)
ノーベル文学賞作家の傑作長編
ポーランドとチェコの国境地帯にある小さな町、ノヴァ・ルダ。国境に移り住んできてその土地の記憶を伝える..
ポーランド・ミステリ小説
他国のミステリー小説の質や量と比べると、ポーランドミステリーは若干、出遅れている感がありました。
そんな中、2017年に翻訳された「怒り」が日本でも好評となりました。
検察官テオドル・シャツキシリーズです。
各種ミステリーランキングなどでも、常連となっていました。
また、最近の本ではありませんが、ポーランド警視庁賞を受賞している「顔に傷のある男」などもあります。
ポーランドミステリ 【あらすじ&レビュー】
「あの日に消えたエヴァ」 レミギウシュ・ムルス(著)
ポーランドの人気No.1作家とのことです。
プロポーズ直後に、目の前でエヴァをレイプされてしまう主人公、その10年後、その時以来、失踪してしまったエヴァを探し回るが!?・・
レビュー
最後まで読んでみると、非常によくできた小説で面白かったです。
エヴァが失踪した謎というより、動機を追いかけるという展開で進みます。
ラスト100ページくらいで衝撃が走ります。
そこからまたひと捻りありますが、どんでん返しというか、覆される感じです。
追う側から追われる側のサスペンスへ、序盤から布石があることに気づく・・
最後まで読むと、緻密なプロットだったとわかる
ネット上の動きをシャッフルし痕跡を消す多重ネットワーク、TOR,オニオンルータや深層ネット(ディープ・ウェブ)などの現状を知り、現代若手作家ならではの記述なども面白かったです。
歴史背景、政治絡み、街描写などは殆どありませんが、ストーリーが面白く読みやすいので、飽きずに短期間で読めます。
ストーリーのみの評価なら、星5つでもいいかな!?と思いました。
まとめ
ポーランドでは、年間70万人から100万人の女性が家庭内で暴力を受けているそうです。
また、年間2万人の行方不明者が出るそうです。1日に50人以上がいなくなっているという計算です。
ロシア、ドイツ、チェコと国境を接し、歴史に翻弄されてきたポーランドならではのテーマを扱った小説が多いように感じます。