東欧(東ヨーロッパ)文学としてウクライナの小説をまとめました。
ウクライナ出身の有名作家は少なくありません。
首都キエフや戦乱に巻き込まれてきた西部の都市リヴィウなど、ロシア帝国期の名作や短編集も掲載しています。
ウクライナ作家 & 舞台の小説
「ペンギンの憂鬱」 アンドレイ・クルコフ(著)
ウクライナの国民的作家による不条理な物語
ソ連崩壊後のウクライナの首都キエフ。売れない小説家の主人公はペンギンと暮らす。
新聞の死亡記事を書く仕事を始めた矢先、不穏な出来事が次々と起こり始めるが!?・・
「灰色のミツバチ」 アンドレイ・クルコフ(著)
全米図書批評家協会賞 受賞作
世界的ベストセラー「ペンギンの憂鬱」著者の寓話的物語
戦禍のウクライナが舞台。ロシアとのあいだに設けられた緩衝地帯「グレーゾーン」。地雷に囲まれた村には、中年男2人を除いて誰も残っていなかった。やがて意を決したセルゲーイチは、ロシア占領下のクリミアを目指して旅に出るー
「現代ウクライナ短編集」 オリガ・ホメンコ(著)
現代ウクライナの雰囲気を感じられる短編集
ヨーロッパの穀倉といわれる豊かな大地、民族独立、様々な歴史が浮かびあがってくるウクライナの人々の暮らし。
「ウクライナから愛をこめて」 オリガ・ホメンコ(著)
ウクライナの首都キエフ生まれの著者のエッセイ
日本に留学した経験から日本語で綴る。
ウクライナの歴史、第二次大戦とソ連による支配。様々なウクライナ史や社会情勢も伺えることが出来ます。
「ウクライナにいたら戦争が始まった」 松岡 圭祐(著)
戦場と化したブチャの町を舞台にしたウクライナ戦争小説
高校生の瀬里琉唯(るい)は、単身赴任中の父と過ごすため母、妹とウクライナに来た。キエフ郊外の町の学校に慣れてきた頃、ロシア侵攻のニュースが流れ、帰国の準備を始める。。しかし、新型コロナウィルスの影響で一家は自宅から出ることが出来なくなり!?・・
実際に取材した内容が細部に描かれている1冊。
「万能鑑定士Q」シリーズ著者の新作です。
「鳴かずのカッコウ」 手嶋 龍一(著)
著者11年ぶりの新作
ある日、ジョギング中に目にした看板から国際諜報戦線に!?・・
中国・北朝鮮・ウクライナの組織が入り乱れたスパイエンターテイメント
ウクライナの情勢も垣間見れる小説
「悪魔の選択」 フレデリック・フォーサイス(著)
軍事ミステリーの巨匠フレデリック・フォーサイスの重厚な小説です。
1980年前半のソ連を中心とした世界、ウクライナのレジスタンス活動家などウクライナの悲惨な歴史も詰め込まれた1冊
ウクライナの小麦畑など戦略物資となりえる穀物。ソ連の穀物不足が絡んだ冷戦時代の骨太諜報軍事ミステリ
「クレムリンの魔術師」 ジュリアーノ・ダ・エンポリ(著)
アカデミー・フランセーズ賞
バルザック賞 受賞
2022年ゴンクール賞の最終候補作で、受賞作と2分して難航した投票は13回にも及んだそうです。惜しくも受賞を逃しました。
プーチンの「演出家」の告白をもとにした政治小説
「ウクライナ戦争はなぜ起きた?」ロシアの権力の歴史をリアルに描く。
「同志少女よ、敵を撃て」 逢坂 冬馬(著)
2022年本屋大賞や2021年アガサ・クリスティ賞など数々の賞を受賞し、戦争の悲惨さや理不尽さを伝えるタイムリーな1冊です。
ソ連とウクライナの関係性などを表す記述も出てくる小説です。
ノンフィクション(ドキュメント)
「戦争日記 : 鉛筆1本で描いたウクライナのある家族の日々」 オリガ・グレベンニク(著)
ウクライナの絵本作家が侵攻直後から描いた戦禍ドキュメンタリー
2022年2月24日、ロシアがウクライナに軍事侵攻した日からマンションの地下室で避難生活を始め、ハリコフ(ハルキウ)から西部の街リヴォフ(リヴィウ)を経てブルガリアまで逃れていく過程を綴る。
戦争で破壊された日常、別れた家族、恐怖との戦い・・
NHK「おはよう日本」でも紹介されたドキュメント。
「戦争は女の顔をしていない」 スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ(著)
ウクライナ生まれのノーベル文学賞作家による戦争もの名作
第2次世界大戦で100万人を超える女性が従軍したソ連。
軍医や看護師としてだけでなく、武器を手にして戦った。しかし、戦後は世間から白い目で見られる。。
500人以上の従軍女性からの聞き取りで見える戦争の真実とは!?・・
ウクライナ出身の作家
「ウクライナ日記 国民的作家が綴った祖国激動の155日」 アンドレイ・クルコフ(著)
「ペンギンの憂鬱」のクルコフが綴った「マイダン革命」後、半年間の記録と考察の日記
2013年ウクライナの首都キエフ、プーチンに対し反政府デモが発生。全土に拡大したこの革命は何故!?・・
プーチンによるウクライナのEU加盟への阻止などもよくわかる1冊。
池上彰氏によるウクライナ解説付。
「ソラリス」で有名なSF作家スタニスワフ・レムは、旧ポーランド領ルヴフ(現在ウクライナ領リヴィウ)に生まれました。
また、ロシア帝国出身の作家としてゴーゴリやブルガーコフもいます。「巨匠とマルガリータ」で有名なブルガーコフは、ロシア帝国支配下のウクライナの首都キエフに生まれました。
第6回(2020)日本翻訳大賞を受賞している「アカシアは花咲く―モンタージュ」は、オーストリア領ガリツィア(現ウクライナ西部)に生まれたユダヤ人のデボラ・フォーゲルの短編集です。
内容は詩的な文学作品でウクライナとの関連性はありませんが、後半30ページ程のデボラ・フォーゲル(作家)の履歴を通して、ウクライナの歴史も多少わかります。
著者は、独立ポーランド領の中心都市リヴィウで教職にも就いていました。