フェミニズム文学小説の代表的な作品をまとめています。
昨今、国内外問わず、多くのフェミニズム小説が刊行されています。
特に、韓国のフェミニズム小説の翻訳などが増えてきています。
フェミニズム文学とは!?
フェミニズムとは、性差別をなくす運動や思想出発のことを言います。
定義としては、「女性の社会的・政治的・法律的・性的な自己決定権を主張し、男性支配的な社会を組み替えようとする思想や運動、女性解放思想」となります。
ウーマンリブ(アメリカから始まった女性解放運動)に端を発しています。
SNSのハッシュタグを利用した「#MeToo運動」などが、記憶に新しいフェミニズム運動と言えます。
第4波まで、フェミニズムの流れには、4つの波があったと言われています。
そんな、フェミニズムに特化した文学・小説が増えつつあります。
【海外編】フェミニズム小説
「侍女の物語」 マーガレット・アトウッド(著)
カナダ総督文学賞
[1987年] アーサー・C・クラーク賞 受賞作
宗教国家であるギレアデ共和国。女性が子供を産むための道具として支配者層に仕える「侍女」制度が敷かれていた。侍女・オブフレッドは、配属先の邸宅の主の司令官の子を産むことが役目だったが!?・・
「誓願」 マーガレット・アトウッド(著)
2019年(英)ブッカー賞受賞作
静かに、強靭に、闘いをやめない女たちの物語
〈侍女〉オブフレッドの物語から15年後。ギレアデ共和国を操るまでになっていた小母・リディア。司令官の娘・アグネスは、将来、良き妻になるための教育に違和感を覚える。カナダの古着屋の娘・デイジーは、両親が何者かに爆殺されたことをきっかけに、危険な任務にその身を投じていく。全く異なる人生を歩んできた3人が出会う時、ギレアデの命運が大きく動きはじめ!?・・
「グレイス・イヤー:少女たちの聖域」 キム・リゲット(著)
[2023年] 本屋大賞【翻訳小説部門】第3位
フェミニズム・ディストピア
少女たちに「魔力」があると信じられているガーナー郡。男性を誘惑したり、妻たちを嫉妬に狂わせたりできるのだと。その「魔力」が開花する16歳の少女たちは、「魔力」を解き放ち清らかな女性になるために、森の奥のキャンプに1年間追放される。16歳を迎えるティアニーは、〈グレイス・イヤー〉に立ち向かう。キャンプでは何が!? 魔力とは!?ーー
「三つ編み」 レティシア・コロンバニ(著)
フランスで120万部突破で、全国図書館協会賞など文学賞8冠
3つの大陸で、3人の女性の、3通りの人生を描くフェミニズム小説
現代のインド、イタリア、カナダの3か国を舞台に、3人の女性が、それぞれ苦しみとそこからの解放を描く。唯一共通するのは「自分の意志を貫く勇気」。3人が運命と闘うことを選んだ時、物語が交差し!?・・
「女の子たちと公的機関:ロシアのフェミニストが目覚めるとき」 ダリア・セレンコ(著)
ロシアのフェミニスト小説
フェミニストとして目覚めていく様子を描いた物語
ロシアの作家でフェミニスト、反戦活動家の作家によるプーチン政権下の「公的機関」で働く非正規雇用の女の子たちの物語。国家と社会の歪みを、身体で受け止めていた彼女たちは、その理不尽に気づき!?・・
「僕の狂ったフェミ彼女」 ミン・ジヒョン(著)
韓国作家のフェミニスト小説
愛らしい僕の彼女。就活を前に不安な僕を癒してくれた。つきあって1周年、僕は、1年間の海外インターンシップに行くことになる。出国当日、彼女から別れのメールで、僕のメンタルは崩壊した。そんな初恋を引きずりながら、「僕」ことスンジュンは、大企業に就職し3年目を迎える。周りが結婚する中、ある日、初恋の彼女と出くわす。彼女は、フェミニストになっていて!?・・
「あなたのことが知りたくて:小説集 韓国・フェミニズム・日本」 チョ・ナムジュ, ハンガン他..(著)
日本と韓国の人気作家による12名のフェミニズム短編
ノーベル文学賞作家のハン・ガンやべストセラー「82年生まれ、キム・ジヨン」のチョ・ナムジュ、日本からは、芥川賞作家の高山羽根子や松田青子、西加奈子、深緑野分などの作品が掲載されています。
「82年生まれ、キム・ジヨン」 チョ・ナムジュ(著)
2019年Twitter(ツイッター)文学賞【海外部門】第2位
韓国では社会現象にもなり、130万部を超えるベストセラー
キム・ジヨン(韓国における82年生まれに最も多い名前)は、自分の母親や友人の人格が憑依したかの様子。誕生から学生時代、受験、就職、結婚、育児・・の人生を克明に振り返る中、女性の人生に立ちはだかるものが浮かびあがる。
映画化もされ、2020年10月9日公開されました。
「となりのヨンヒさん」 チョン・ソヨン(著)
韓国フェミニズムSF短編集 15編
もしも隣人が異星人だったら?・・好きな子が未知のウイルスに侵されたら!?・・
今と未来の物語ーー同性愛、フェミニズム、差別と情報統制。マイノリティの人々の心。
やさしく切ない物語から、中国との関係、朝鮮戦争など、韓国小説ならではのシリアスな物語まで。
「韓国が嫌いで」 チャン・ガンミョン(著)
主人公の韓国人が留学生として韓国を出て、オーストラリアで永住権をとる物語です。あとがきでは、フェミニズム小説となっていました。
2015年、SNSなどで流行った「ヘル朝鮮」という言葉。働いても働いていなくても閉塞感のある韓国の状況から脱出するように、主人公の韓国人はオーストラリアへ留学します。
都会生活に疲れ、済州島などに1ヶ月行くマンスリー生活や超低出産率、満員電車など、現在の韓国事情なども。いっき読み出来るタイプの小説で、160ページ程度の薄い冊子です。
【日本編】フェミニズム小説
「持続可能な魂の利用」 松田 青子(著)
第1回 みんなのつぶやき文学賞【国内編】第3位
女性アイドルに恋する三十女の熱情の最強レジスタンス小説
会社に追いつめられ、無職になった30代の敬子。男社会の闇を味わいつつも、男が演出する女性アイドルにはまっていく。新米ママ、同性愛者、会社員、多くの人が魂をすり減らす中、敬子は、この国の地獄を変える賭けに挑み!?・・
「ピュア」 小野 美由紀(著)
早川書房「note」歴代アクセス数 第1位
性と共に生きる人々の姿を描くフェミニズムSF短編集
妊娠を義務付けられた女性が男たちを「食べる」世界を描くー「ピュア」 ジェンダー・ファンタジーに近い感じの5つの物語。
「バルーン・タウンの殺人」 松尾 由美(著)
妊婦探偵・暮林美央の活躍を描いた連作集
東京都第七特別区、通称バルーン・タウン。人工子宮が一般化した世界。そんな中、母体での出産を望む女性たちが暮らす別天地。しかし、事件が次々に起こり!?・・