【社会派ミステリーの傑作30選】過去の実在事件や政治が絡む小説など

社会派ミステリ

社会派ミステリ小説のおすすめタイトルをまとめています。

近刊の作品から過去の名作まで、読んでおきたい社会派サスペンスです。

松本清張、宮部みゆき、湊かなえ、東野圭吾、横山秀夫など有名作家の作品も。

社会派ミステリとは!?

社会派ミステリとは、社会性のある事件、社会問題、現代の世相などを含むミステリ小説のことを言います。

フィクションの小説でありながら、実在の事件、情勢などを絡めた社会派小説です。

社会派推理小説、社会的なサスペンスのことを言います。

ルッキズム社会などの現代の若者などが抱える社会問題を含んだ小説も。

【社会的事件・企業の事件】がモデルのミステリ

「罪の声」 塩田 武士(著)

[2016年] 山田風太郎賞 受賞作

「週刊文春」ミステリーベスト10 2016年【国内部門】第1位

第14回(2017年)本屋大賞 第3位

昭和最大の未解決事件の真相とは!?ーー

1984年、社会を震撼させた「グリコ・森永事件」をモデルにしたフィクション

京都でテーラーを営む曽根俊也。自宅にあったカセットテープを再生すると、幼き自分の声が。。一方、大日新聞の記者・阿久津英士は、この未解決事件を追い求め!?・・

日本アカデミー賞12冠となった映画の原作

 

「レディ・ジョーカー」 高村 薫(著)

毎日出版文化賞 受賞作

このミステリがすごい!1999年版【国内篇】第1位

グリコ・森永事件をモデルにした社会ミステリ

巨大ビール会社が標的にされ、日之出ビールの社長・城山が誘拐される。合田雄一郎警部補は、捜査を始めるが、この巨大企業が闇に浸食されていることを知る。彼のの眼前に、深い霧が広がり!?・・

 

「マークスの山」 高村 薫(著)

第109回(1993年上半期)直木賞 受賞作

このミステリがすごい!1994年版【国内篇】第1位

1976年、南アルプス北岳で発生した殺人事件をモデルにしたミステリ

南アルプスで発見された白骨死体。3年後に、東京で発生した連続殺人。2つの事件を結びつけるものは!? 警視庁捜査一課の合田雄一郎警部補は、捜査を進めるが!?・・

 

「震える牛」 相場 英雄(著)

食肉偽装の実話をモデルにした社会派サスペンス

BSE問題、食品偽装問題を扱った作品

発生から2が経つ未解決事件「中野駅前 居酒屋強盗殺人事件」。警視庁捜査一課の田川信一は、捜査を命じられる。当初は、「金目当ての不良外国人」と思われていたが、犯人がベンツを使用していたことを掴む。さらに捜査を進めるうち、「食の安全」と関わりがあることがわかり!?・・

 

「悪の五輪」 月村 了衛(著)

昭和の東京オリンピックがモチーフの社会派クライムノベル

日本が劇的に変貌を遂げた時期、あらゆる業種が莫大な利権に群がり!?ー

1963年、東京オリンピック開催を翌年に控え、黒澤明が、公式記録映画の監督を降板する。博打をしのぎにしている白壁一家の人見稀郎は、後任に、中堅監督の錦田をねじ込んで興行界に打って出るべく動き出す。オリンピック組織委員会には、政治家、財界関係者、右翼、ヤクザ、警察、土建業者などがうごめいていて!?・・

 

「TOKYO REDUX 下山迷宮」 デイヴィッド・ピース(著)

TOKYO
文藝春秋
発売日:2021/8/24

戦後最大の怪事件「下山事件」を扱った社会派ミステリ

1949年、7月。GHQ占領下の東京で、国鉄総裁が出勤途中に姿を消す。列車にはねられた轢断死体で、深夜の鉄路で発見される。国鉄は、GHQの方針で大規模な人員整理に着手したばかりで、労働組合や左翼分子の犯行が疑われた。

この下山事件と、事件の時効を迎える1964年の東京五輪、1988年、病床に臥せる天皇の容態を憂えて沈む東京の3つの謎が絡む作品

 

「土漠の花」 月村 了衛(著)

第68回(2015年)日本推理作家協会賞 受賞作

自衛隊のあり方に一石を投じる壮大な物語

陸上自衛隊第一空挺団の精鋭達が、ソマリアの国境付近で墜落ヘリの捜索救助にあたっていた。その野営地に、氏族間抗争で命を狙われている女性が駆け込み、撤退戦の幕があがる。通信手段が無い中、武器も、土地勘もなく、圧倒的な数的不利。なぜ、救援は来ないのか!? 自衛官は人を殺せるのか!?ーー

 

「たかが殺人じゃないか」 辻 真先(著)

このミステリがすごい!2021年版【国内篇】第1位

〈ハヤカワ・ミステリマガジン〉ミステリが読みたい!【国内篇】第1位

〈週刊文春〉2020ミステリーベスト10【国内部門】第1位

戦後の混乱期が絡む骨太な社会派ミステリ

昭和24年、戦争の傷が未だ深い、名古屋の男女共学の高校3年生になった風早勝利少年。彼の推理小説研究会は、夏合宿にくり出すが、そこで密室殺人事件に遭遇する。勝利は、那珂一兵の助けを借りながら謎に挑むが!?・・



現代社会問題を絡めた作品

「わたしが消える」 佐野 広実(著)

2020年(第66回)江戸川乱歩賞 受賞作

認知症がテーマの哀切極まる社会派ミステリー

元刑事の藤巻は、交通事故で、自分が軽度認知障害があることを知る。妻は既に亡くなっていて、大学生の娘にも迷惑はかけられない。そこに、娘が訪ねてきて、介護実習で身元不明の老人がいると相談される。その老人は認知症の疑いがあり、意思の疎通ができないとのこと。藤巻は娘の依頼を引き受け、調査に乗り出す。残された時間で、自分に何ができるのか!?ーー

 

「悪い夏」 染井 為人(著)

第37回(2017年)横溝正史ミステリ大賞【優秀賞】受賞作

生活保護の闇を描いたノワールサスペンス

生活保護受給者のもとを回るケースワーカーである26歳の守。同僚が、ケースの女性に肉体関係を迫っていると知り、真相を確かめるため女性宅を訪れる。しかし、その出会いが普通の世界から足を踏み外し!?・・

 

「Blue」 葉真中顕(著)

Blue
光文社
発売日:2022/2/15

「読書メーター OF THE YEAR 2019」 第1位

社会派ミステリーの傑作

児童虐待、子供の貧困、外国人労働者。格差社会の闇ーー

平成15年に発生した一家殺人事件。しかし、容疑者の次女は、薬物の過剰摂取で死亡し、事件は迷宮入りする。平成31年、「多摩ニュータウン男女2人殺害事件」の捜査をする桜ヶ丘署の奥貫綾乃だが、この2つの事件には繋がりが!?・・

 

「展望塔のラプンツェル」 宇佐美 まこと(著)

2019年度「本の雑誌」年間ベスト10 第1位

児童虐待の社会問題がテーマの小説

1986年、多摩川市。この街は、貧困、暴力、虐待、家庭崩壊など、児童相談所は休む暇がない。児童相談所職員の松本悠一と子供家庭支援センターの志穂。南部で生きる少年少女・カイ、ナギサ、ハレの3人。不妊に悩む郁美と夫の圭吾。1986年、1997年、2008年の3つの時代を軸に、それぞれの物語が進行し!?・・

児童虐待、性虐待、人種差別的な話などを含みつつ。

 

「OUT」 桐野 夏生(著)

OUT
講談社
発売日:2002/6/14

このミステリがすごい!1998年版【国内篇】第1位

DVや非正規雇用問題など、現代の社会問題を含みつつ

ごく普通の4人の主婦。深夜の弁当工場で働く主婦達は共謀し、パート仲間が殺した夫の死体をバラバラにして捨てる。なぜ彼女たちは、暴挙に出たのか!?・・

中年女性が中心の犯罪小説。

 

「境界線」 中山 七里(著)

戸籍売買の闇を描く社会派ミステリ

宮城県警捜査一課警部・笘篠誠一郎の妻、笘篠奈津美の遺体が発見される。彼女は、7年前の東日本大震災で行方不明になっていた。しかし、現場に到着した笘篠は、遺体が妻とはまったくの別人だとわかり!?・・

 

「震える天秤」 染井 為人(著)

横溝賞出身作家の社会派ミステリ

高齢者ドライバーを扱った現代社会問題

高齢者男性の運転する軽トラックがコンビニに突っ込み、店員が死亡する事件が発生する。認知症が疑われる加害者は、アクセルとブレーキを踏み違えたという。ライターの俊藤律は、加害者の埜ヶ谷村を取材するが、皆、何かを隠していると勘付き!?・・

 

「網内人」 陳 浩基(著)

網内人
文藝春秋
発売日:2020/9/28

前作「13・67」で有名な香港作家の華文ミステリ

網の中(インターネット)に潜む悪魔をあぶり出せ!ー

中学生の妹を飛び降り自殺で亡くした姉のアイ。妹シウマンの自殺原因が、ネットにひそむ悪意が背後にあることを知る。ネットの誹謗中傷が彼女を死に追いやったのか!?・・ アイは、ネット専門の凄腕探偵・アニエと共に捜査を始めるが!?ーー

ネットリンチ、痴漢冤罪、ダークウェブなど、香港を舞台に現在の社会問題を含みつつ・・



【法制度・法律問題】を絡めた作品

「13階段」 高野 和明(著)

第47回(2001年度)江戸川乱歩賞 受賞作

死刑制度をテーマにした社会派ミステリ

死刑囚は、犯行時刻の記憶を失っていた。刑務官の南郷は、冤罪を晴らすため、前科ありの青年・三上と調査を始める。しかし、手がかりは、死刑囚の脳裏に蘇った「階段」の記憶のみ。。処刑までの残り時間はわずかだが!?・・

 

「Aではない君と」 薬丸 岳(著)

吉川文学新人賞 受賞作

少年法をテーマにした社会派ミステリ

14歳の息子が同級生の殺人容疑で逮捕される。弁護士には何も話さないが、親子は少年審判の日を迎える。果たして、真相は!?ーー

 

「幻夏」 太田 愛(著)

幻夏
KADOKAWA
発売日:2017/8/25

冤罪がテーマの重厚な作品

少女失踪事件を捜査する刑事・相馬は、現場で奇妙な印を発見し、23年前の夏の記憶をよみがえらせる。同級生の言った「俺の父親、ヒトゴロシなんだ」 流木に不思議な印を残して消えた親友の同級生。。 少年はどこに消えたのか!? 印の意味は!?・・

「相棒」の脚本家による、司法の信を問う傑作ミステリ。

 

「嘘か真言か」 五十嵐 律人(著)

社会派リーガルミステリー

特殊詐欺事件に挑む新任判事補と裁判官。現代の姿が炙り出された事件簿。

「法廷遊戯」で知られるリーガルミステリの雄の最新作

 

「スワン」 呉 勝浩(著)

[2020年] 日本推理作家協会賞 受賞作

[2023年版] このミステリがすごい!【国内編】第1位「爆弾」の作家の作品

事件の「その後」や被害者、関係者にフォーカスした作品

巨大ショッピングモール「スワン」で、無差別銃撃事件が起きる。死傷者40名に迫る大惨事だったが、高校生のいずみは生き残る。そのいずみは、保身のために人質を見捨てたと暴露される。被害者から非難の的になる。そして、生き延びた5人が集められ、残された謎の解明をするというが!?・・

 

「教誨」 柚月 裕子(著)

教誨
小学館
発売日:2022/11/25

女性死刑囚の心に迫る社会ミステリ

日本推理作家協会賞受賞のベストセラー「孤狼の血」で知られる著者の本格犯罪小説

吉沢香純と母の静江は、遠縁の死刑囚、三原響子から身柄引受人に指名され、東京拘置所で遺骨と遺品を受け取る。女児2人を殺害した死刑囚が最期に残した言葉の真意とは!?--

 

「護られなかった者たちへ」 中山 七里(著)

骨太社会派ヒューマン・ミステリー

阿部寛 出演の映画原作

仙台市の福祉保険事務所課長・三雲忠勝が、餓死死体で発見される。人格者と言われた人物で、怨恨が理由とは考えにくく、捜査は暗礁に乗り上げる。しかし、事件の数日前に、ひとりの模範囚が出所していて!?・・

 

「インビジブル」 坂上 泉(著)

[2021年] 日本推理作家協会賞 受賞作

戦後の一時期のみ実在した「大阪市警視庁」を舞台にした骨太警察小説

見えてくるのは、戦後の大坂の闇。

昭和29年、大坂城付近で政治家秘書の死体が見つかる。若手の新城は、国警から派遣された警察官僚とタッグを組むはめに。。性格の全く違う2人が連続猟奇殺人犯を追うが!?・・

最新作に沖縄警察をテーマにした「渚の螢火」があります。

 

「老警」 古野 まほろ(著)

老警
KADOKAWA
発売日:2022/8/24

社会派警察ミステリー

加害者は警察官の息子・・

小学校で起きた無差別大量殺人の犯人は、警官から奪った銃で自殺する。。犯人の父である現役警官もまた、自死する。。謎多き事件の真実とは!?・・

ベテラン警察官達の保身と矜持、組織の理不尽と世間の無情。。



【名作タイトル】社会派ミステリ

「64(ロクヨン)」 横山 秀夫(著)

このミステリがすごい!2013年版【国内篇】第1位

ミステリ界の巨匠の渾身作

わずか7日間しかなかった昭和64年。その年に発生した「翔子ちゃん誘拐殺人事件」を指す「64(ロクヨン)」。警察庁長官による時効まであと1年と少しとなっていた。D県警の三上義信は、当時の捜査員など64関係者にあたるが!?・・

 

「白鳥とコウモリ」 東野 圭吾(著)

「白夜行」「手紙」の流れをくむ東野圭吾版「罪と罰」

ご本人も「今後の目標は、この作品を超えることです。」とおっしゃっているそうです。

続編の「架空犯」も話題の1冊です。

 

「手紙」 東野 圭吾(著)

手紙
文藝春秋
発売日:2006/10/6

200万部を突破したベストセラー

獄中からの「手紙」・・ 加害者の弟として生きる運命とは!?ーー

2人きりの兄弟だった武島剛志と直貴。兄の剛志は、弟の大学進学の金のため、強盗殺人の罪を起こしてしまう。服役中の剛志から直貴のもとに、月1度、獄中から「手紙」が届く。直貴には、常に「強盗殺人犯の弟」という運命が立ちはだかり!?・・

 

「カケラ」 湊 かなえ(著)

ルッキズム社会を考えさせられる社会派サスペンス

美容外科医が真実を追うミステリ

美容外科医の橘久乃は、幼馴染みのカウンセリング中に、太っていた同級生・横網八重子の娘・有羽が自殺していたことを知る。その少女の死について、人々の証言は食い違っていた。有羽を追いつめたものとは!? 周囲の目と自意識が作り出すものとは!?・・

 

「火車」 宮部 みゆき(著)

火車
新潮社
発売日:1998/1/30

第6回(1993年)山本周五郎賞 受賞作

多重債務・自己破産などがテーマの社会派ミステリの金字塔

休職中の刑事・本間俊介は、遠縁の男性に頼まれ、彼の失踪した婚約者・関根彰子を捜すことになる。足取りを消して失踪した彼女は、なぜ、存在を消さなければいけなかったのか!?・・ そこには、カード社会の犠牲とも言うべき、自己破産者の凄惨な人生が隠されていた。。

 

「日本の黒い霧」 松本 清張(著)

社会派ミステリの巨匠・松本清張の作品

「帝銀事件」、「下山事件」、「松川事件」など、昭和の未解決事件を松本清張が独自に取材したルポタージュ

占領下の日本で起きた昭和史に残る未解決事件を松本清張が独自に情報収集、推理で真相に迫る!-- その背後には、米国・GHQが暗躍する姿が!?・・