ノワール(暗黒)小説の有名な作品を一覧で掲載しています。
ノワール文学(暗黒小説)の定義などについてもまとめています。
ジム・トンプスン、ジェイムズ・エルロイ、チャールズ・ウィルフォードなど..
ノワール(暗黒)小説の代表的作品
「ポップ1280」 ジム・トンプスン(著)
このミステリーがすごい!2001年版【海外編】第1位
アメリカンノワール作家ジム・トンプスンの暗黒小説。
人口1,280人の町でたった1人の保安官。一見、人の良い田舎者だが彼にはもうひとつの顔があった・・
最新作は、2023年発売「ゴールデン・ギズモ」です。2転3転する犯罪ミステリ小説。
「ホワイト・ジャズ」 ジェイムズ・エルロイ(著)
《暗黒のL.A.4部作》第4作目(ジェイムズエルロイの最高作とも)
《暗黒のLA.4部作》(1作目「ブラックダリア」、2作目「ビッグノーウェア」、3作目「LAコンフィデンシャル」、4作目「ホワイトジャズ」)は、現代暗黒小説界の金字塔シリーズでLA暗黒史を描いています。
「アメリカン・タブロイド」など<アンダーワールドUSA三部作>シリーズもアメリカ現代史を刻んだノワール文学。
「拾った女」 チャールズ・ウィルフォード(著)
このミステリがすごい!2017年版【海外編】第4位
巨匠チャールズ・ウィルフォードの初期傑作ノワール恋愛小説。
夜のサンフランシスコ。カフェで働くハリーは、酔いどれの女ヘレンをホテルに泊まらせる。翌日、金を返しにくるヘレンと再会し同棲を始めるようになるが!?・・
酒、煙草、男と女。。破滅へと進む男女の姿、ラストでの驚愕の事実・・
「転落の道標」 ケント・ハリントン(著)
人間の暗黒面を描いたノワール小説の傑作
保険外交員ジミーは、保険代理店の経営者フィルの妻イヴとフィルを殺害する計画を立てるが失敗する。フィルの妻イヴと覚醒剤を伴ったSMセックスに興じ、やがてイヴに殺人をそそのかされる。。ジミーは暗黒の道を突き進むが!?・・
ポスト「ジム・トンプスン」とも言われた作家の暗黒小説。
他の作品に、メキシコの有名なお祭りの「死者の日」をタイトルにしたティファナ(アメリカとの国境の街)が舞台の小説があります。
「グリッツ」 エルモア・レナード(著)
重鎮エルモア・レナードのノワール小説
プエルトリコで休暇中のモーラ警部は、女友達の不審な墜落死の報を受ける。。事故のあったカジノで有名な街アトランティック・シティに飛ぶが!?・・
エルモア・レナードは、エドガー(アメリカ探偵作家クラブ)賞を受賞している「ラブラバ」など、マイアミやカリブ海地方などを舞台にした作品が多い作家のように感じます。
「死の接吻」 アイラ・レヴィン(著)
アメリカ探偵作家クラブ賞(エドガー)最優秀処女長篇賞 受賞作
若干、23歳の時に執筆された暗黒小説の古典的傑作
学生同士の2人は恋人だった。しかし、女は妊娠しており、男は結婚を迫られる。。冷酷非情な青年アプレゲールは完全犯罪を目論むが!?・・
「気狂いピエロ」 ライオネル・ホワイト(著)
ノワール文学史上に残る傑作
ゴダール名作映画の原作の古典的名作
運命の女に翻弄され、転落していく男を描いた犯罪ノワール。
ニューヨーク郊外に暮らす38歳のシナリオライター。妻との関係も冷え切ったある日、ベビーシッターの若い娘と一夜を共にすることになる。。しかし、目覚めた時には隣室に見知らぬ男の死体が!?・・
「夜の人々」 エドワード・アンダースン(著)
ノワール小説の幻の古典的名作が、ついにヴェールを脱ぐ
殺人により、14歳で終身刑となった青年・ボウイ。囚人仲間と共に刑務所を脱獄し、銀行強盗など犯罪を重ねんがら逃亡する。そして自動車事故を起こしてしまい、後続車に乗っていた囚人仲間が警官2人を射殺してしまう。ボウイは主犯として追われるが!?・・
レイモンド・チャンドラーも激賞の1冊
「はなればなれに」 ドロレス・ヒッチェンズ(著)
青春ノワール(犯罪小説)の傑作
映画「はなればなれに」の原作
22歳の前科者スキップとエディは、夜間学校で17歳の娘カレンと出会う。彼女が身を寄せる未亡人宅には、カジノ関係者の男ストールツが頻繁に訪れている。莫大な現金を屋敷に保管しているらしく、2人はその金を奪う計画を立てるが!?・・
「7月のダークライド」 ルー・バーニー(著)
青春ノワール
バリー賞、ハメット賞など4冠を受賞したクライムノヴェル「11月に去りし者」の作家の最新作
遊園地で働く青年ハードリー。ある日、幼い姉弟に煙草の火傷痕を見かける。素人探偵さながら調査を開始するが、見えてきたのは父親の背後にちらつく麻薬組織の影で!?・・
「郵便配達は二度ベルを鳴らす」 ジェイムズ・M. ケイン(著)
20世紀アメリカ犯罪小説の金字塔
近年、ノワールの名作として注目されているファムファタール。
ハンバーガー屋で働き始めた俺は、ギリシャ人店主の妻に心を奪われてしまう。。やがて、彼女と共謀して店主殺害を計画するが!?・・
「悪魔はいつもそこに」 ドナルド・レイ・ポロック(著)
ノワール文学の傑作
Netflix(ネットフリックス)オリジナル映画の原作
戦後間もないオハイオ州南部の田舎町ノッケムスティッフ。両親を亡くし、祖母に引き取られたアーヴィンは、義妹レノラと共に育つ。そんな彼の運命は、牧師、腐敗した保安官らの思惑と絡み合い、暴力の連鎖へと引きずりこまれていく!?--
「ノー・カントリー・フォー・オールド・メン」 コーマック・マッカーシー(著)
ピュリツァー賞作家・コーマック・マッカーシーの最新作
映画「ノーカントリー」の原作「血と暴力の国」の続編
ヴェトナム帰還兵のモスが、メキシコ国境付近で死体と大金を発見し、更なる殺戮を呼ぶ・・
ノワール文学とは!?
ノワール文学は、アメリカのハードボイルド小説に端を発し、フランスで生まれた作風だと言われています。
ノワールとは、フランス語のNoir(ノワール)からきており、「黒」を意味します。
「暗黒小説」はフランス語の「ロマン・ノワール(roman noir)」の訳語で、第二次世界大戦後、アメリカのハードボイルド小説の影響下で書かれたフランス産のミステリー小説を指す。
参照:wikipedia(ウィキぺディア)より
そのため、広義には、ハードボイルド小説も含まれるということになります。
例えば、アメリカのマフィアが興隆した時代や犯罪の多かった時代、悪徳警官などがいた時代の暗黒史などの作品が所謂、ノワール(暗黒)小説と言われています。
クライムノベル(犯罪小説)との境も明確ではないような気がします。
ジム・トンプスン 読了レビュー
「殺意」 ジム・トンプスン(著)
舞台は、ニューヨークから電車で数時間のリゾート地マンドウィック
この田舎町に住む人々がそれぞれ1人称で話す面白い形式の小説です。
12人の語り手がそれぞれの章の主人公で、それぞれの登場人物の心の内の話を聞くように読み進められます。
レビュー
一見、傍から見ると、医者や実業家、郡検事、弁護士などいい職業についている人達ですが、小さな町ならではの密接な人間関係や親子関係など悩みと苦悩が浮き上がっています。時代性(人種差別など)も見え隠れします。
そんな中で「殺意」というミステリ要素があり、面白かったです。
斜め向こうから突如名前が出てくる容疑者が、「えー!?」というラスト1ページですが、誰が犯人でもあまり問題ではない面白さを感じました。
「天国の南」 ジム・トンプスン(著)
テキサスが舞台のプロレタリアン・ノベル
ジム・トンプスンには珍しい労働者小説(プロレタリア文学)です。
レビュー
石油パイプライン現場の物語で、そこそこ面白かったです。
パイプライン敷設工事での過酷な労働環境の話です。自伝のような小説でした。
石油パイプラインで働いたことのある著者だからこそ書けた小説かもしれません。
テキサスという地での暗黒の労働実態が世界観が出ている小説でした。