英国スパイ小説界の巨匠ジョン・ル・カレは、どういう人物なのでしょうか!?
2020年12月14日(月)にお亡くなりになりました。
そんな、イギリス作家の「ジョン・ル・カレ」についてまとめてみました。
英国の小説家「ジョン・ル・カレ」とは!?
1931年生まれのイギリスの作家、小説家です。
スパイ小説を多く執筆し、スパイ小説の巨匠とも言われています。
スイスのベルン大学とオックスフォード大学のリンカーン・カレッジで学び、その後、外務・英連邦省に入ります。
1956年にMI5の下級職員となり、1960年にはMI6への転属願いを出します。
その経験を元に、外交官として働く傍ら、小説を書き始めます。
1961年、29歳の時に発表した「死者にかかってきた電話」で小説家としてデビューします。
その後、スパイ小説を中心に多くの小説を執筆し、1963年に「寒い国から帰ってきたスパイ」を出版。
エドガー賞長編賞を受賞し、世界的な評価を得ています。
ジョン・ル・カレの最新作
ジョン・ル・カレの遺作は、2021年12月16日に発売の「シルバービュー荘にて」となります。
遺作となったスパイ小説
英国の海辺の町で書店を営むジュリアンは、シルバービュー荘に住むエドワードと親しくなる。そのエドワードから見知らぬ女に手紙を渡すよう頼まれる。
一方、イギリス情報部の国内保安の責任者プロクターは、エドワードを調査するが!?・・ シルバービュー荘に住むエドワードは何者なのか!?
ジョン・ル・カレの著作
ジョン・ル・カレといえば、ジョージ・スマイリーを主役とした
「ティンカー、テイラー・ソルジャー、スパイ」
「スクールボーイ閣下」
「スマイリーと仲間たち」の3部作が有名です。
その3部作の前日譚に「寒い国から帰ってきたスパイ」があります。
「寒い国から帰ってきたスパイ」は、スパイ小説の金字塔と言われています。
1963年にエドガー賞長編賞を受賞し世界的に評価を得ました。
東西冷戦下に敵対する英国と東ドイツの情報部との暗闘をリアルに描いています。
30年以上の時を経て、これら名作の続編として書かれたのが「スパイたちの遺産」です。85歳の時の作品となります。
ピーター・ギラム(映画ではベネディクト・カンバーバッチ演じる)が主人公です。
サーカス(英国情報部)(現:イギリス情報局秘密情報部”MI6”)に潜む、いわゆる”モグラ”という裏切り者(ソビエト連邦との2重スパイ)を炙り出すという物語です。
キム・フィルビー事件は、1963年にソ連の二重スパイが英国の諜報活動の中枢であるMI6の幹部にまでなっていたことが発覚した事件です。
その他の作品では、「ナイロビの蜂」「パナマの仕立屋」なども有名です。
2012年の「われらが背きし者」、2013年の「誰よりも狙われた男」は、どちらも映画化されています。
「繊細な真実」は2014年の作品です。
さらに2020年には、「スパイはいまも謀略の地に」が発売されています。
EU離脱(BREXIT)に揺れるイギリスが時代背景の現代スパイ小説です。
全米、英ベストセラーで「Best Books of the Year」に選ばれています。
「終生の友として」 ジョン・ル・カレ(著)
スパイ小説の巨匠、ジョン・ル・カレの作品
2024年9月発売で「シルバービュー荘にて」よりも後に発売されていることから、遺作なのか未翻訳作品かわかりませんが、最も最新の発売日の作品です。
世界に翻弄された2人のスパイの物語。
ヴェトナム戦争、プラハの春、ベルリンの壁崩壊、冷戦の終結、そしてイラク戦争へーー
スパイたちの遺産【あらすじ&レビュー】
スマイリー3部作から続くスパイ小説の最終章です。
レビュー
地味な箇所も緻密な構成で面白かったです。
「ティンカー・テイラー」含む後日譚と「寒い国から」の前日譚をつなぐ力作で傑作だと思いました。
「寒い国から来たスパイ」と「ティンカー・テイラー・ソルジャー・スパイ」を見ていない人でも読めますが、楽しめないと思いました。
まず、その両作を読んでからの方がいいと思います。
派手さはないものの、今までの人間関係(登場人物)の関連性(あの人とあの人がこう繋がっているのか!?など)をさらに深く掘り下げたような面白さがありました。