セルバンテス賞(スペイン語圏最大の文学賞)歴代受賞者の代表作をまとめています。
スペインはもちろん、メキシコなど中南米や南米(ラテンアメリカ)のヒスパニック系文学の作家が受賞しています。
受賞者の中から、小説を執筆している作家の代表作をまとめています。
【セルバンテス賞】歴代受賞者
【2017年】受賞者 セルヒオ・ラミレス
「ただ影だけ」 セルヒオ・ラミレス(著)
中南米のニカラグアが舞台の歴史フィクション
1979年、ニカラグア。ソモサ独裁政権の崩壊が目前の時代。ソモサの私設秘書菅のアリリオ・マルティニカは、逃亡を企てるが、革命軍に捕われる。。独裁政権に加担した嫌疑で民衆裁判にかけられるが!?・・
【2015年】受賞者 フェルナンド・デル・パソ
「帝国の動向」 フェルナンド・デル・パソ(著)
ヨーロッパ史とメキシコ史が混ざり合う歴史小説の傑作
メキシコ第二帝政の皇帝・マクシミリアンとその妃シャルロッテの悲劇。
歴史事実と政治的背景をもとにした壮大で重厚な1冊。
【2014年】受賞者 エレナ・ポニアトウスカ
「嵐の中のアルジェリア」 エレナ・ポニアトウスカ(著)
アルジェリア内戦を描いたルポタージュ
90年代、治安が悪化してきた北アフリカにある国・アルジェリア。10万人の犠牲者を出している現状を、スペイン人ジャーナリストが手記にする。
【2013年】受賞者 エレナ・ポニアトウスカ
「レオノーラ」 エレナ・ポニアトウスカ(著)
ビブリオテカ・ブレベ賞 受賞作
不世出の画家レオノーラ・キャリントンの生涯
イギリスの大富豪の一族に生まれたレオノーラ。彼女は幼い頃から動物と会話する不思議なヴィジョンの持ち主だった。シュルレアリストの画家、マックス・エルンストとの出会うが!?--
現実とフィクション入り混じる傑作長編。
【2010年】受賞者 アナ・マリア・マトゥーテ
「小鳥たち マトゥーテ短篇選」 アナ・マリア・マトゥーテ(著)
20世紀スペインを代表する女性作家の短編集
悲しみ、死、少年少女への現実など、繊細で詩情豊かな作品群。
「幸福」「隣の少年」「噓つき」「アンティオキアの聖母」など、詩的なリアリズムと幻想の21篇。
【2009年】受賞者 ホセ・エミリオ・パチェーコ
「ラテンアメリカの文学 ラテンアメリカ五人集」 ホセ・エミリオ・パチェーコ(著)
ラテンアメリカ文学を代表する5人の作家によるアンソロジー
メキシコの作家、ホセ・エミリオ・パチェーコの「砂漠の戦い」は、メキシコの時代背景を絡めた物語。
ホセ・エミリオ・パチェーコ、マリオ・バルガス=リョサ、オクタビオ・パス、ミゲル・アンヘル・アストゥリアス、カルロス・フェンテス。
【2008年】受賞者 フアン・マルセー
「ロリータ・クラブでラヴソング」 フアン・マルセー(著)
スペイン現代文学の旗手による物語
警察官の兄と知的障害の双子の弟
警察官の兄は、麻薬・テロ対策で職権を乱用し、謹慎処分を受ける。。一方、若い娼婦に恋をする知的障害をもつ弟。帰郷した兄は、暴力的に弟を娼婦から引き剥がそうとするが!?・・
【2004年】受賞者 ラファエル・サンチェス・フェルロシオ
「アルファンウイ」 ラファエル・サンチェス・フェルロシオ(著)
スペインの国民的作家による幻想的な小説
アルファンウィという名の少年の物語。
不思議な出来事が押し寄せる中、独自の感性を持つ少年の物語。現実と非現実の狭間で・・ 色彩感覚や情景描写も豊富。
【2003年】受賞者 ゴンサロ・ロハス
「ゴンサロ・ロハス詩集」 ゴンサロ・ロハス(著)
20世紀、チリを代表する詩人のアンソロジー
牧歌的なチリの自然に感性を育まれた詩人の初期から晩年までの代表作。
1916年、南米チリに生まれた少年。幼くして「図書館」という魔法の世界を発見する。やがて、日常の出来事を根源的に探求し「詩」を綴る。
【2000年】受賞者 フランシスコ・ウンブラル
「用水路の妖精たち」 フランシスコ・ウンブラル(著)
1940年代末のスペインが舞台の自伝的青春小説
20世紀後半のスペインを代表する作家・知識人。
少年の心の葛藤、性の目覚め、文学を通して作家を志すということ。
少年から青年へーー
【1999年】受賞者 ホルヘ・エドワーズ
「ペルソナ・ノン・グラータ:カストロにキューバを追われたチリ人作家」 ホルヘ・エドワーズ(著)
キューバ・カストロ政権を題材にしたノンフィクション
アジェンデ政権の代理公使として、3ヶ月間ハバナに滞在した著者の記録。
1970年代キューバ・カストロ体制の暗部を映し出した批判の書。
「パディージャ事件」の背景を記す実録でもあります。
【1997年】受賞者 カブレラ=インファンテ
「亡き王子のためのハバーナ」 カブレラ=インファンテ(著)
旧共和制キューバが舞台の自伝的青春小説
ハバナでの青春など思春期。様々な女性遍歴を持ち、語られるエロス。
キューバの熱気を含みつつ。
【1994年】受賞者 マリオ・バルガス=リョサ
「アンデスのリトゥーマ」 マリオ・バルガス=リョサ(著)
ノーベル文学賞作家の傑作
ペルーの高地を舞台に暴力、恋愛劇からむ物語。
アンデス山中に駐屯する治安警備隊・伍長リトゥーマ。リトゥーマと助手トマスの目の前で、姿を消す3人の男達。テロリストに殺されたのか!? 彼らの身に何が起きたのか!?・・
【1993年】受賞者 ミゲル・デリーベス
「そよ吹く南風にまどろむ」 ミゲル・デリーベス(著)
20世紀スペイン文学を代表する作家の短・中篇集
4作品からなる傑作集。
「自然」「身近な人々」「子ども」「死」などをテーマにした作品群。
【1991年】受賞者 フランシスコ・アヤラ
「仔羊の頭」 フランシスコ・アヤラ(著)
スペイン内戦の悲惨さを描く5つの短編集
それぞれの物語から見えてくるスペイン市民戦争の実相。
表題作「仔羊の頭」ーーモロッコのフェズを訪れた主人公は、同姓の家に招かれ、夕食の羊料理で消化不良に陥る。。一家にせがまれ、内戦中の悲劇を語り出す・・
【1990年】受賞者 アドルフォ・ビオイ・カサーレス
「英雄たちの夢」 アドルフォ・ビオイ・カサーレス(著)
アルゼンチン作家の幻想、リアリズム小説
1927年、ブエノスアイレスの街。エミリオ・ガウナは、カーニバルに沸く街で、人生を大きく変える出来事に遭遇する。3年後、再び、カーニバルの夜に街に繰り出すが!?・・
【1989年】受賞者 ロア=バストス
「汝、人の子よ」 ロア=バストス(著)
パラグアイが舞台のマジック・リアリズム文学
パラグアイの戦争・反乱・独裁など歴史がわかる傑作。
3国同盟戦争(ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイとの)、ボリビアとのチャコ戦争など、周辺諸国と紛争をくり返していた時代。
パラグアイ独立運動の指導者で初代元首ホセ・ガスパル・ロドリゲス・デ・フランシアの奴隷だった老人が語る・・
【1987年】受賞者 カルロス・フエンテス
「テラ・ノストラ」 カルロス・フエンテス(著)
スペイン、メキシコが舞台の壮大なSF的小説
1,000ページを越える大変、重厚感のある小説です。
スペイン王家のフェリペ2世、狂女フアナなど実在の人物達とドン・キホーテなどの架空の人物が錯綜する征服者の悲劇。
メキシコを代表する作家、カルロス・フエンテスは、他の作品にも「老いぼれグリンゴ」などが有名です。