中南米が舞台の作家や小説をまとめています。
メキシコ、グアテマラ、ニカラグア、パナマなどの小説。
メキシコ麻薬戦争やセルバンテス受賞作なども掲載しています。
メキシコが舞台の小説
「老いぼれグリンゴ」 カルロス・フエンテス(著)
革命下のメキシコを舞台に描くセルバンテス賞作家のアメリカ批判の書
革命騒ぎの中、米国から死に場所を求めメキシコにやったきた老作家、メキシコ人革命家のグリンゴ爺さん。作家の最期の謎やアメリカ人女性と革命軍士官の愛憎劇を織り交ぜながら描く1冊。
他の作品に、多様な人種と社会階級が混在するメキシコ・シティを舞台にした「澄みわたる大地」もあります。
「死者の日」 ケント・ハリントン(著)
ティファナを舞台にしたノワール小説の傑作です。
ポスト「ジム・トンプスン」とも言われたノワールが得意な作家です。
「火山の下」 マルカム・ラウリー(著)
世界情勢を背景に、メキシコの歴史などを絡めた20世紀文学の傑作
2つの火山を臨むメキシコ。クワウナワクの町で、元英国領事ジェフリー・ファーミンは、最愛の妻に捨てられ、酒浸りの日々を送っている。。1938年の「死者の日」に、妻イヴォンヌが突然舞い戻るが、彼は彼女を許せず、益々、酒に溺れていき!?・・
「乾杯、神さま」 エレナ・ポニアトウスカ(著)
セルバンテス賞 受賞作家によるルポルタージュ文学の傑作
変動するメキシコシティの地。メキシコ革命を兵士として生き、その後、労働者として生きる女性ヘスサは何者なのか!?--
ジャーナリストでもある著者による女性の物語。
「愛のパレード」 セルヒオ・ピトル(著)
20世紀メキシコを舞台にしたサスペンス系小説
1942年、歴史学者のデル・ソラールは、自分が住んでいた集合住宅「ミネルバ館」の殺人事件の謎を解こうとする。当時の住人への訪問をくり返すが!?・・
世界に先駆け社会革命を経験したメキシコは、大戦を逃れた多くの亡命者を受け入れた。この時代を背景にした不条理。。
「証人」 ファン・ビジョーロ(著)
エラルデ小説賞 受賞作
政権交代を果たしたメキシコが舞台の歴史物語
24年ぶりにヨーロッパから祖国メキシコへ帰ったフリオ。親族や旧友と接するうち、不穏な事件に巻き込まれ!?・・ 祖国の記憶とは!?--
「ハリケーンの季節」 フェルナンダ・メルチョール(著)
スペイン語圏の新星による傑作長篇
暴力と貧困がはびこる現代メキシコの田舎の村。そこで、「魔女」の死体が見つかる。。村の女達に薬草を処方し、堕胎も行っていた彼女。そんな彼女を殺したのは一体誰か!?ー
名だたる文学賞の候補になった1冊。
メキシコ麻薬戦争 3部作
「犬の力」 ドン・ウィンズロウ(著)
このミステリがすごい!2010年版《海外編》第1位
メキシコを舞台にしたメキシコ麻薬戦争の傑作「犬の力」3部作とは、アメリカの作家ドン・ウィンズロウによる壮大なクライムノヴェルです。
「ザ・カルテル」 ドン・ウィンズロウ(著)
このミステリがすごい!2017年版《海外編》第2位
第2弾の「ザ・カルテル」も評判が上々でした。
「ザ・ボーダー」 ドン・ウィンズロウ(著)
第3弾の最終作「ザ・ボーダー」で幕を閉じました。
メキシコとアメリカの関係はもちろん、グアテマラ、ホンジュラス、エルサルバドルなどの中南米からの麻薬の流れなど、メキシコ麻薬戦争だけでない現実も知れたように思います。
「越境」 コーマック・マッカーシー(著)
ピュリツァー賞作家・コーマック・マッカーシーの国境3部作、第2作目
名作「すべての美しい馬」と「平原の町」で国境3部作となっています。
不法入国など、3度の「越境」でメキシコへ渡る少年。
1940年代、メキシコ国境にほど近いニュー・メキシコ州のアメリカ。16歳のビリーは、メキシコから侵入してきたと思われる狼をメキシコ側に返そうとするが!?・・
「夕陽の道を北へゆけ」 ジャニーン・カミンズ(著)
メキシコ~アメリカまで。
麻薬カルテルの力の及ばない北を目指す、ロードノベルらしい作品。
メキシコのアカプルコ。書店を経営し、幸せに暮らすリディアの日々が麻薬カルテルにより親族16人を殺されて一変する。たった1人生き残った息子を連れて、貨物列車の屋根に飛び乗りアメリカへ!?・・
ホンジュラスやグアテマラから上がってくる人々を含みつつ。
「2666」 ロベルト・ボラーニョ(著)
ボラーニョ文学の遺作で集大成
南米、チリの作家ボラーニョの作品ですが、世界一危険な都市と言われるメキシコのシウダードファレスの実在事件をモデルにした物語も。
メキシコ北部の架空の都市サンタテレサなども。
ぶ厚い冊子で、2段組の重厚な小説です。
紀行文
「メガロマニア」 恩田 陸(著)
「蜜蜂と遠雷」で知られる直木賞作家による中南米紀行
メキシコ、グアテマラ、ペルーなどの古代文明の足跡を辿り、中南米の遺跡を歴訪する。
インカ、マヤ、アステカなどのメキシコ古代文化に触れられる1冊。
アステカ神話などメキシコ絡み
「テスカトリポカ」 佐藤 究(著)
第165回(2021年)直木賞受賞作
このミステリーがすごい!2022年版【国内編】第2位
メキシコのアステカ神話ちらつく骨太ハードボイルドクライムノベル
メキシコの麻薬カルテル密売人、川崎の日本人が絡む犯罪小説。
滅亡した王国「アステカ」の神の影が・・アステカ文明に興味ある人にも
グアテマラが舞台の小説
「大統領閣下」 ミゲル・アンヘル・アストゥリアス(著)
ノーベル文学賞作家のラテンアメリカ文学
実在のモデル「大統領閣下」ことエストラーダ・カブレラの独裁支配を描いたリアリズム小説。
中南米の某国(グアテマラ)。暴力と恐怖に支配された独裁国家。「大統領閣下」の側近ミゲル・カラ・デ・アンヘルは、無実の罪をかぶせられるカナレス将軍を救い出し、その娘カミーラと結ばれるが!?・・
「列車はこの闇をぬけて」 ディルク・ラインハルト(著)
ドイツ児童図書賞にノミネートされたヤングアダルト小説
世界最貧国グアテマラ。14歳のミゲルは、米国へ働きに行ったきりの母を追い、故郷グアテマラを出てメキシコへ向かう。途中、他の10代の子供達と出会い、5人で無賃乗車してメキシコを縦断する旅を始めるが!?・・ 退廃した国境の街など、無事に生き抜くことができるか!?--
パナマが舞台の小説
「パナマの仕立屋」 ジョン・ル・カレ(著)
スパイ小説の巨匠、ジョン・ル・カレのエスピオナージ
パナマ運河の利権、歴史が絡む英米両国の思惑。。
パナマで純英国の仕立屋を営むハリー・ペンデル。彼のもとにイギリス人の客がやってきた。それがきっかけで、ハリーの人生は大きく動き出すが!?
ニカラグアが舞台の小説
「ただ影だけ」 セルヒオ・ラミレス(著)
[2017年] セルバンテス賞(スペイン語圏最高の文学賞)受賞
中南米のニカラグアが舞台の歴史フィクション
1979年、ニカラグア。ソモサ独裁政権の崩壊が目前の時代。ソモサの私設秘書菅のアリリオ・マルティニカは、逃亡を企てるが、革命軍に捕われる。。独裁政権に加担した嫌疑で民衆裁判にかけられるが!?・・
「ザ・ボーダー」 あらすじ&レビュー
メキシコを中心とした30年に及ぶ壮絶な麻薬戦争「犬の力」「ザ・カルテル」から続く3部作の最終章
あらすじ
麻薬カルテル組織(シナロアカルテル)のボス、アダン・バレーラ亡き後、その子供達の世代がボスの座を狙います。第3世代の世継ぎ争いが物語りの根幹です。
差し当たりアダンの右腕だった男(ヌニェス)がボスになるが、シナロアカルテルの3巨頭のそれぞれの息子達、リック、イバン、ダミアンにアダンの妹エレナ、エスパルサの警護隊長だったティトなど、5つ巴の様相となり世継ぎ争いが混沌としてくる。
そこに、第1世代の生き残りラファエル・カーロが絡んできます。
アメリカの合法化により大麻・コカインでの利益が厳しくなってきたカルテルは、ヘロイン市場に手を出し始める。
ニューヨークに蔓延するヘロイン流通を、ニューヨーク市警が囮捜査で調べる。大統領選に出馬する娘婿と麻薬資金が繋がっていることを突き止める。
シリーズ通して主人公であるアメリカの麻薬取締局(DEA)捜査官局長のアート・ケラーは、どう立ち向かっていくのか・・・
アイリッシュ系でニューヨークのチミーノ一家と結託し殺し屋組織の頭目になったショーン・カランやアメリカ人で唯一カルテルのボスに昇りつめたことのある麻薬商エディ・ルイスなどお馴染みのキャラクターも登場します。
「ザ・ボーダー」のレビュー
世界一危険な都市「シウダード・フアレス」、サンディエゴとの国境の「ティファナ」、メキシコ湾に近い「ヌエボラレド」の3つの主要な国境(ボーダー)などカルテルの勢力事情と国境事情はさみつつ
レビュー
大傑作でした。小説(架空の物語)を読んでいるのか、現実を読んでいるのかわからなくなるくらい、アメリカやメキシコの抱える現実の問題点などがわかる1冊だと感じました。
アメリカとメキシコの麻薬問題と世の中の実情社会問題を読んでいるようですごくよかったです。
「犬の力」から続くカルテル組織の第3世代の新たな世代が中心ですが、最終章にふさわしく前2作を凌ぐ面白さだと思いました。
出来事や人名は架空にしても、実在する組織や街の描写、アメリカとメキシコの関係、グアテマラの現状など、ほぼ現実に近い感じなんだろうと思いました。
上巻だけで765ページ、上下巻で1570ページもあるよ