ドイツ文学や作家、文学賞などについてまとめています。
ドイツが舞台のおすすめミステリ小説も多く、翻訳されている作品も増えてきました。
最近話題の小説や賞を受賞している作品を掲載しています。
ドイツミステリ小説
ネレ・ノイハウス
「悪女は自殺しない」に始まる〈刑事オリヴァー&ピア〉シリーズ
ドイツミステリーの女王と言われるネレ・ノイハウスは多くの作品を出版しています。
- 「死体は笑みを招く」
- 「深い疵」
- 「穢れた風」
- 「白雪姫には死んでもらう」
- 「悪しき狼」
- 「生者と死者に告ぐ」
- 「森の中に埋めた」
- 「母の日に死んだ」
へと続き、警察小説シリーズは世界累計1000万部を突破し、毎年ペースで刊行の量産スタイルをとっています。
最新作は、2024年2月発売の「友情よここで終われ」です。
アンドレアス・フェーア
「急斜面」 アンドレアス・フェーア(著)
2010年ドイツ推理作家協会賞(フリードリヒ・グラウザー賞)新人賞でデビュー作の「咆哮」、「羊の頭」「聖週間」に続く《ヴァルナー&クロイトナー》シリーズ第4弾
ネレ・ノイハウスと並ぶドイツミステリのビッグネームの警察小説シリーズです。
「弁護士アイゼンベルク」シリーズも傑作シリーズです。
ミュンヘンで刑事事件を専門とする弁護士が主人公で、ドイツの刑事裁判事情などがわかる秀作です。
最新作は「突破口(弁護士アイゼンベルク)」です。
その他のドイツミステリー
「国語教師」 ユーディト・W・タシュラー(著)
ドイツ推理作家協会賞 受賞作
2020年の翻訳ミステリー大賞【読者賞】第6位
「このミステリーがすごい!2020年版」で第10位です。
「汚れなき子」 ロミー・ハウスマン(著)
「汚れなき子」は、2020年ドイツ推理作家協会賞 最終候補作です。
デビュー作ながら、米アマゾンではレビュー3,000超え、ドイツアマゾンでレビュー1500超えの人気作となっています。
次世代ドイツミステリーを担うだろうと期待されている新人作家です。
「影の子」 デイヴィッド・ヤング(著)
英国推理作家協会(CWA)賞 最優秀歴史ミステリ賞
東ドイツの秘密警察シュタージ絡みの歴史ミステリ
冷戦時代、社会主義国家ならではの情勢を絡めた歴史ミステリの傑作。
「裏切りのシュタージ」 アンドレア・プルガトーリ(著)
東ドイツの極秘計画をめぐるベルリンが舞台のスパイスリラーです。
比較的、薄い冊子で、いっき読みも出来るタイプの小説です。
「裏切り」 シャルロッテ・リンク(著)
2022年4月に発売の「裏切り」は、ドイツミステリの女王とも言われるシャルロッテ・リンクの新作です。
何故かイギリスが舞台の小説が多い作家ですw
「乗客ナンバー23の消失」 セバスチャン・フィツェック(著)
「ミステリが読みたい!2019年版」海外編 第3位
舞台は海洋ミステリですが、ドイツ人作家のデビュー作となります。
↓ ページ下部に読了レビューも記載しています。
ドイツ作家の作品
ドイツのノーベル文学賞受賞者は、13人います。
トーマス・マン
有名な作家にノーベル文学賞受賞者でもあるトーマス・マンがいます。
教養小説の傑作と言われる「魔の山」や疫病が蔓延しつつある1911年のヴェネチアが舞台の「ベニスに死す」などの著作があります。
ギュンター・グラス
最近では、1999年に「ブリキの太鼓」のギュンター・グラスがノーベル文学賞を受賞しています。
ドイツの文学賞には何がある!?
ドイツにもドイツ独自の文学賞がいくつかあります。
クライスト賞
ドイツで最も権威ある文学賞の一つです。伝統ある文学賞です。
外国人が選ばれるのは珍しい中、2016年度に日本人の多和田葉子さんが受賞しました。多和田さんは、1993年の芥川賞受賞者でもあります。
ゲオルク・ビューヒナー賞
ドイツにおいて、最も重要とされている文学賞です。
地域的な賞でしたが、1951年にドイツ語を用いる作家全般を対象にした文学賞へ発展しました。
フリードリヒ・グラウザー賞
別名:ドイツ推理作家協会賞
ドイツ語圏の推理作家協会の「シンジケート」が授与しているミステリ賞。
ドイツ語圏の推理小説など、優れたミステリに与えられる賞。
ゲーテ賞
ドイツの文化賞です。
1926年に、ゲーテ研究家の「エルンスト・ボイトラー」らの提案で設立されました。ドイツの文豪「ゲーテ」が賞の名前になっています。
ドイツ・ミステリ大賞
1985年創設の「ボーフム・ミステリ・アーカイブ」が主催するドイツ語圏のミステリ賞です。ドイツ語作品部門の対象は、ドイツの作品に限りません。
日本では、イニシャルをとってDKP賞と言われることもあります。また、ドイツ犯罪小説賞と訳されることもあります。
ドイツミステリ小説 【あらすじ&レビュー】
「影の子」 デヴィッド・ヤング(著)
あらすじ
1975年2月、東ベルリン。東西を隔てる“壁”に接した墓地で少女の死体が発見されます。少女の死体は無惨な状態で身元の調べようがありません。現場には国家保安省(シュタージ)のイェーガー中佐が来ています。主人公の女性刑事のミュラーは捜査を進めるうち背後にあるもの、国家の闇が見えてくる・・
レビュー
人民警察とシュタージの関係など1970年代の情勢がよくわかりました。
謎解きというよりテーマも含め、小説として面白かったです。
青少年労働施設の存在とかベルリンの壁を挟んで冷戦時代の東ドイツ側からの視点が新鮮でした。
「乗客ナンバー23の消失」 セバスチャン・フィツェック(著)
「ミステリが読みたい!2019年版」海外編 第3位
「このミステリがすごい!2019年版」海外編 第7位
舞台は豪華客船ですが、ドイツ人作家のミステリーです。
ドイツミステリーの最終兵器と銘打たれた作家の作品です。
amazon(ドイツ)でレビュー数1,400超、評価平均4.2と評判。
レビュー
伏線など謎が多く、飽きずに読み進められました。
少しずつ謎が解けつつ、最終的に、一件落着してからの動機がなかなか以外?(強引?)でした。
犯人の動機がちょっと強引過ぎるかな!?
ただ、社会問題を入れているので、まあまあ面白かったです。
船上の閉鎖空間で事件が続発するミステリでした。
謝辞にある着想を得た現実問題がためになりました。