【ドン・ウィンズロウ】の最新作|クライムノワールの帝王

クライムサスペンスの巨匠、アメリカの作家「ドン・ウィンズロウ」についてまとめてみました。

ウィンズロウの作品は、アメリカ西海岸(カリフォルニア)周辺を舞台にした作品が多いように思います。

作家ドン・ウィンズロウの経歴や今までの著作を紹介します。

ドン・ウィンズロウとは!?

ドン・ウィンズロウは、1953年生まれのアメリカ合衆国・ニューヨーク出身の小説家です。

ジャンルは、クライムサスペンス、ハードボイルド、探偵、警察小説などです。

ネブラスカ大学では、ジャーナリズムを専攻します。アフリカ史の学士号と軍事史の修士号を持ちます。

様々な職業を転々とし、37歳で作家として本格的にデビューします。

探偵ニール・ケアリーの物語が1991年度のアメリカ探偵作家クラブ(MWA)処女長編賞候補作に挙げられ、突如、ミステリ界に現れた鬼才としての評価を呼びました。

2009年(日本語訳では)に大作「犬の力」が出版され、メキシコ麻薬戦争3部作の壮大なサーガを完成させます。

 

ドン・ウィンズロウの最新作

「終の市」ドン・ウィンズロウ(著)

終の市
HarperCollins
発売日:2024/6/18

ドン・ウィンズロウ新3部作、最後の章

「業火の市」「陽炎の市」に続く、ギャング・ノワールの最終抗争。

 

2022年に最新シリーズ作「業火の市」が発売されました。

業火の市
ハーパーコリンズ・ジャパン
発売日:2022/5/18

新3部作の第1作目

「ゴッドファーザー」のようなマフィアをテーマにした幕開けとなる作品。

1986年のアメリカ東海岸。アイルランド系マフィア・ファミリーイタリア系マフィア・ファミリーの抗争へと発展していきます。

ウィンズロウが6年かけて読んだ「イーリアス」「オデュッセイア」などの叙事詩をモチーフに、現代マフィアのストーリーに織り込まれています。

ギリシャ神話のトロイア戦争の引き金のひとつと言われている絶世の美女、ヘレネーのように1人の美女によってマフィア間の関係が崩れる!?・・

 

ドン・ウィンズロウの著作

ドン・ウィンズロウは、多くの著作を執筆しています。

30年に渡るメキシコの麻薬戦争を描いた3部作が最も有名な代表作と言えるのではないでしょうか。

  • 「犬の力」
  • 「ザ・カルテル」
  • 「ザ・ボーダー」
メキシコの麻薬戦争を描いた壮大なサーガの「犬の力」「ザ・カルテル」「ザ・ボーダー」の3部作は、本人曰く「人生の3分の1を費やした」という代表的シリーズになりました。

2009年に日本語訳として発刊された「犬の力」は、「このミステリがすごい!2010年海外編第1位となっています。

犬の力
角川書店(角川グループパブリッシング)

 

2017年には続編「ザ・カルテル」が2位になっています。

 

そして、2019年夏に「ザ・ボーダー」が発刊され、「このミス2020版」で第3位となっています。

「ダ・フォース」「フランキー・マシーンの冬」「キング・オブ・クール」「サトリ」他..などの作品も執筆しています。

「ダ・フォース」では、ニューヨークの警察特捜チーム「通称:ダ・フォース」を描いています。悪徳警官の自業自得譚のようなエンターテイメント性のある小説です。警察版ゴッドファーザーとも形容されています。

「フランキーマシーンの冬」は、映画”野蛮なやつらSAVAGES”にも出てくる”フランキー・マシーン”と呼ばれた伝説の殺し屋フランク・マシアーノが主人公です。

「キング・オブ・クール」は、映画にもなった”野蛮なやつら(SAVAGES)”の前日譚です。「キング・オブ・クール」には、フランキー・マシーンも出てきます。

「野蛮なやつら/SAVAGES」は、オリバー・ストーン監督で映画にもなっています。
野蛮なやつら
角川書店(角川グループパブリッシング)
発売日:2012/2/25

2020年には「壊れた世界の者たちよ」6編からなる短編集が発売されています。

 

ドン・ウィンズロウ小説 【あらすじ&レビュー】

「犬の力3部作」は「メキシコが舞台の小説」のページに記載しているので、それ以外の作品のレビューを書きました。

「ダ・フォース」 ドン・ウィンズロウ

ダ・フォース3.5

「このミステリがすごい!2019年版」第5位

ニューヨーク、マンハッタンのノース特捜部「通称“ダ・フォース」
麻薬や銃の犯罪を取り締まる特捜チームの名称です。ニューヨーク市警の中でも猛者の集まるチームを率いるマローンは、市民のヒーローでもある刑事です。しかし、善良な警官という感じではなく、悪徳警官とも言えるキャラクター。そしてマローンは転落の道をたどりはじめる!?・・・

レビュー

麻薬抗争に立ち向かう悪徳警官のクライムサスペンスです。

物語自体はそれほど面白いと思いませんでしたが、ヒップホップの描写やアメリカの銃の流れ事情など、物語だけではない作家の個性(知識)が随所に感じられ、悪くなかったです。

1つの事件やテーマについてという感じではなく、警察小説としての骨太なドラマという感じです。主人公のキャラクターが立っていて良いと思いました。

ただ、重厚な内容なので、読了するのは結構時間がかかります。

 

「キング・オブ・クール」 ドン・ウィンズロウ

キングオブクール3.5

映画にもなった「野蛮なやつらSAVAGES」の前史です。
南カリフォルニアを舞台に60年代パーマカルチャーからのヒッピーとサーファーの麻薬カルテル話と現代が並列して進むクライムサスペンス

レビュー

オレンジ郡ラグーナビーチ含むカリフォルニアの描写が個人的には良かったです。
物語も普通に面白かったです。60年代のサンフランシスコのパーマカルチャーのことやマリファナ、ヒッピーなど、いかにもカリフォルニアという描写や情報がありました。

アメリカ西海岸やサーフィン、やんちゃな物語が好きな人におすすめだと思いました。

 

「ザ・ボーダー」のレビューやメキシコの小説をまとめています。