山崎豊子『不毛地帯』のモデルは誰!?どういう人?意味も

山崎豊子作品「不毛地帯」のモデルは誰なのでしょうか!?

「不毛地帯」は大人気傑作小説で、過去にドラマ化もされています。

そんな、不毛地帯のモデルと言われている人物についてまとめています。

「不毛地帯」の意味は!?

「不毛地帯」は、戦後の荒廃から立ち直ろうとする時代を背景に、シベリア抑留経験がある男のビジネスマンとしての生き様を描いた物語です。

戦後30年間の日本人の心の歩みを描いた歴史超大作です。

ドラマは、2009年~2010年にかけてフジテレビ系列で放送されました。

主人公の壹岐(いき)演じるのは、唐沢寿明さんでした。

 

不毛地帯の意味!?

「不毛地帯」とは、土地がやせており、食物が育たないことを言います。

「不毛の土地」「不毛地帯」といった使い方があります。

山崎豊子さんによると「不毛地帯」とは、「精神的飢餓状態」を意味しているそうです。

山崎先生曰く、「1965 年以降の日本は異常な経済成長により、物質的には豊かになりました」。

しかし、「あらゆる人間の欲望が金銭で解決できる」という状態が、「精神的には全く頽廃した」と捉えていたそうです。

それは、「政治のみならず、教育問題まで及び、大人の世界ばかりか子供の世界まで蔓延していた」

そして、「日本全体が不毛地帯といっても過言ではない」という想いから、作品のタイトルが「不毛地帯」となっているようです。



不毛地帯のモデルは!?

ドラマ「不毛地帯」の原作は、作家山崎豊子の作品「不毛地帯」です。この物語の主人公には、モデルがいると言われています。

主人公の壹岐正のモデルは、関東軍参謀本部部員、陸軍中佐で、伊藤忠商事の元会長「瀬島龍三」だという説が一番有力です。

作者の山崎豊子さんは主人公のモデルについて、様々な複数人のイメージを重ね合わせたものと否定しています。

しかし、視聴者や読者の大方の見解として、「モデルは瀬島龍三で間違いない」と感じている人が殆どだと言われています。

 

主人公のモデルとなった人物はどんな人!?

不毛地帯のモデルと言われる人物「瀬島龍三」についてまとめました。

瀬島隆三とは!?

瀬島龍三は、太平洋戦争時に関東軍参謀本部として指揮に関わりました。

シベリアの悲劇と言われる関東軍将兵ら約60万人の連行と、約6万人が強制労働などで死亡した出来事がありました。

その日本兵をシベリアに売り渡す密約を、瀬島龍三が交わしたのではないかと言われています。

そのため、「売国奴」や「昭和の怪物」と表現されることもある人物です。

また、「ソ連のスパイだったのか!?」と憶測されましたが、口を閉じたまま2007年に永眠しました。

自身も11年間シベリアへ抑留されています。

終戦後にシベリア抑留にあい、モンゴルのウランバートルの「第7006俘虜収容所」で志位 正二らと共に、諜報員、共産主義革命のための特殊工作員としての訓練を受けたとされています。

1948年、ソ連諜報員となる誓約を行います。

志位 正二は、ソ連の工作員(KGBのスパイ)であったと言われ、現日本共産党委員長の四位和夫の伯父にあたります。

後に、ソ連の元対日工作員によると【日本人抑留者を前にシベリア抑留中の瀬島が「天皇制打倒!日本共産党万歳!」と拳を突き上げ絶叫していた】との証言があります。

また、ソ連の元書記官によると【瀬島らはウランバートルで特殊工作員として訓練された】と証言したとのことです。

元国家地方警察本部の佐々淳行氏の著書「私を通り過ぎたスパイたち」を読み、少し深掘り出来ました。

また、終戦直後の1945年には、関東軍とソ連極東軍による停戦交渉に出席。

「ソ連への国家賠償として、日本軍将兵らの労務提供を認める」ことを申し出たそうです。

日本に帰国後は、中曽根康弘元首相の有力ブレーン伊藤忠商事の会長を務めました。

瀬島龍三の人間性を炙り出している本もあります。

 

おわりに

山崎豊子作品のドラマ「不毛地帯」のモデルになっている人物についてまとめました。

「不毛地帯」の物語自体は、架空(フィクション)となっています。

ただ、主人公のモデルと言われている人物(瀬島龍三)の経歴から、描き方について賛否両論がなくもない作品となっているようです。

山崎豊子作品を見てみると、殆どの作品にモデルがいるのではないかと思われます。