風景・情景が目に浮かぶような自然描写の豊かな田園小説などのまとめ。
いわゆるネイチャーノベルともとも言われる作品を掲載しています。
近年、話題になったミステリと絡めた小説なども多くあります。
自然描写の豊かな小説【ネイチャーノベル】
「ザリガニの鳴くところ」 ディーリア・オーエンズ(著)
2021年 本屋大賞【翻訳小説部門】第1位
このミステリがすごい!2021年版【海外編】第2位
ノースカロライナの湿地に暮らす少女を通して、アメリカの自然を感じられる小説。
野鳥や動物、湿地の生き物達の描写が豊富。
動物行動学の博士号をもっている作家らしく、雌キツネ、シカ、セグロカモメ、ホタル、カエルなどの話が出てきます。
「アオサギの娘」 ヴァージニア・ハートマン(著)
沼地と家族の絆を描く傑作ミステリ
故郷のフロリダに帰ってきていたスミソニアン博物館勤務の鳥類画家、ロニ。母の荷物を片づけている最中に謎めいたメモを見つける。「ボイドの死についてあなたに話しておかなくてはいけないことがあります」とあるが、父ボイドは、25年前に沼で不審な溺死を遂げているが!?・・
2021年、各種ミステリランキングで話題になった「ザリガニの鳴くところ」の雰囲気も含みつつ。
「アフリカの日々」 イサク・ディネセン(著)
映画「愛と哀しみの果て」の原作
ケニアの大地と動物など、アフリカの大自然など情景と風景描写が美しい小説。
アフリカの動物達なども詩的な文章で生き生きと表現した文学の金字塔。
「父を撃った12の銃弾」 ハンナ・ティンティ(著)
エドガー賞最優秀長編賞 最終候補
このミステリがすごい!2022年版【海外編】第4位
星空や大地などを感じられる自然描写
アラスカの大氷河、ワイオミングの大平原、アリゾナの砂漠
雄大な自然描写も秀逸なロードノベル、クライムサスペンス、少女の成長など青春小説でもある。
「この密やかな森の奥で」 キミ・カニンガム・グラント(著)
アパラチア山脈の自然描写など。
人里離れた山奥で暮らしているクーパー。娘と一緒に8年間、過去の罪から逃げるように暮らしてきたが、町に降りなくてはいけなくなり!?ーー
2021年本屋大賞など話題になった「ザリガニの鳴くところ」のような雰囲気もあると噂の1冊。
「消失の惑星(ほし)」 ジュリア・フィリップス(著)
みんなのつぶやき文学賞2022【海外編】第1位
全米図書賞 最終候補作
秘境カムチャッカ半島(極東ロシア)の風景が浮かぶような描写
ロシア極東の地の文化、民族など、その土地に住む人々の情景。
先住民の地域情報などもあり、美しく風景が目に浮かぶような文芸作品
「このやさしき大地」 ウィリアム・ケント・クルーガー(著)
エドガー(アメリカ探偵作家クラブ)賞 受賞作家の新作
2014年「ありふれた祈り」でエドガー賞を受賞している作家の最新作。
1932年、ミネソタ。教護院で暮らすオディは、暴力をふるう職員を殺してしまう。。施設を逃げ出し、ミシシッピ川を目指すが!?・・ 少年達のひと夏の冒険、成長の物語。
「世界のはての少年」 ジェラルディン・マコックラン(著)
[2018年] カーネギー賞受賞作
1728年、大人3人、子供9人を乗せた船が、スコットランドのヒルダ島から海鳥を獲りに無人島へ渡る。しかし、約束の日がきても迎えの船は来ない・・ 厳しい自然の中、少年達は生き延びるために闘うが!?・・
実話をもとに書かれた少年達の勇気と成長の冒険物語。
「オーバーストーリー」 リチャード・パワーズ(著)
[2019年] ピュリツァー賞 受賞作
木と人間の壮大な物語。
アメリカ最後の手つかずの森。樹木をテーマに、南北戦争前のニューヨークから20世紀後半のアメリカ西海岸の「森林戦争」まで、自然が感じられる小説。
「羊飼いの想い イギリス湖水地方のこれまでとこれから」 ジェイムズ・リーバンクス(著)
ベストセラー「羊飼いの暮らし」待望の続篇
イギリス湖水地方の美しい自然と環境。牧歌的な風景。暖かな陽の光、きらめく小川、鮮やかな緑など、羊飼いの経歴を持つ著者による詩的な文章。イギリス湖水地方の理想と現実の物語。
「静寂の荒野」 ダイアン・クック(著)
現代社会に警笛を鳴らす環境小説
自然が失われた近未来。自然と人間の共存を図る実験が、最後の原生地「ウィルダネス」で行なわれていた。。主人公は5歳の娘を環境汚染から守るため参加するが!?・・
「雨の島」 呉 明益(著)
6話からなる短編集
台湾の自然、動植物をモチーフに美しい物語。
「黒潮文教基金会」という“台湾の環境とエコロジー、文化に関心を寄せる組織”の友人とのホエールウォッチングで台湾一周した著者の自然体験からなるネイチャーライティング。
「蝉かえる サーチライトと誘蛾灯」 櫻田 智也(著)
[第74回] 日本推理作家協会賞受賞作「蝉かえる」のミステリ連作短編集 第2弾
全国各地を旅する昆虫好きの青年、エリ沢泉。様々な事件の真相を解き明かす推理力を持ちあわせる。自然豊かな描写と昆虫知識を絡めた5つの謎。
「六色の蛹」 櫻田 智也(著)
「蟬かえる」シリーズの最新作
「蟬かえる」は、日本推理作家協会賞&本格ミステリ大賞をW受賞しました。
昆虫好きの優しい青年は名探偵。山で起きた銃撃事件の謎。季節外れのポインセチアを欲しがった少女の真意。ピアニストの遺品から消えた楽譜の行方。それぞれの謎を解き明かす全6編
「マイクロワールド」 マイクル・クライトン(著)
ハワイの密林で、自然界の昆虫などマイクロな世界
綺麗な風景ものではないですが、昆虫を通して自然を感じられる小説です。
ハイテク企業により、学生達が極小の身体にされ密林へ放り込まれる!?
「旅する練習」 乗代 雄介(著)
みんなのつぶやき文学賞【国内編】第2位
利根川を歩いて鹿島まで。叔父と姪っ子のロードノベル
カワウなど利根川沿いの野鳥や風景描写が目に浮かんでくるような文章
ラストの衝撃も。
【ザリガニの鳴くところ】 あらすじ&レビュー
本屋大賞2021【翻訳小説部門】第1位
みんなのつぶやき文学賞【海外編】第1位
ノースカロライナの湿地に暮らす少女の成長譚。ミステリー
2019年アメリカで最も売れた小説
1969年に見つかった死体の捜査と1952年からの少女の成長時期が交互に近い感じで描かれています。
レビュー
自然や湿地に息づく動物達の描写が頻繁に挟まれていて、アメリカ南部の湿地(自然)を感じられる小説でした。
意外とミステリーっぽくなく、少女の成長譚(純文学?)って感じです。
そこに、ミステリーがちょっとしたスパイスとなっています。
ミステリーの要素は全体の3割程度で、終盤の150ページくらいまでは少女の成長小説という感じで、ミステリー要素は1割程度です。
動物学者らしく、野鳥や動物、湿地に息づく生き物達の描写が豊富でした。
雌キツネ、シカ、セグロカモメ、クジャク、ホタル、カエル、カマキリ、家に住み着いたスカンクなど..
終わり方も「そう来るか・・」という感じで、ミステリ的にも珍しい感じがしました。