アメリカ先住民文学など、先住民をテーマにした小説をまとめています。
ナバホ族・ブラックフット族など、北米やネイティブアメリカンを題材にした小説、サーミ人など北欧ミステリ、エスキモー、シャーマンなど、様々な民族の小説です。台湾の原住民関係も。
先住民文学
「ブラッドメリディアン」 コーマック・マッカーシー(著)
インディアンとの戦争を描いた米文学の巨匠の傑作
19世紀半ばアメリカ開拓時代。少年はインディアン討伐隊に加わるが!?・・ 血と暴力にまみれたアメリカ史の真実ーー
「ザ・ロード」などの作品で知られ、ノーベル文学賞候補に何度も挙がる作家です。
「ゼアゼア」 トミー・オレンジ(著)
[2019年] PEN/ヘミングウェイ賞 受賞作
アメリカ図書館賞
カリフォルニア州サンフランシスコ近郊のオークランド。都市インディアン(都会で暮らす先住民族)と言われる人達の物語。
著者本人が都市インディアンの現代アメリカ先住民文学の最高峰。
「喪失の冬を刻む」 デイヴィッド・ヘスカ・ワンブリ・ワイデン(著)
アンソニー賞、バリー賞など5冠
先住民族が主人公の居留地が舞台のデビュー作
サウスダコタ、ローズバッド居留地。先住民族の居留地で起こった麻薬密売事件に巻き込まれた甥を救うため、白人と先住民の血を引くラコタ族の”おれ”は、巨悪に立ち向かうが!?ーー
先住民族の苦悩などを背景にした物語。
ネイティブ・アメリカンミステリ
「バッド・カントリー」 C・B・マッケンジー(著)
トニイ・ヒラーマン賞 受賞作
アリゾナ州で私立探偵をしながら老犬と共に住む男ロデオ。ある日、旅行から帰ると、彼の敷地の前に先住民の男の死体があった。。次々と殺される先住民の難事件を追うが!?・・
「黒い風」 トニイ・ヒラーマン(著)
ナヴァホ族警察の巡査ジム・チーが主人公のシリーズ
インディアン保留地の砂漠。真夜中に、麻薬を密輸中のセスナが大破する。。しかし、セスナの残骸から麻薬が発見されず!? 誰かが持ち去ったのか!?・・
多くの種族、氏族を持つインディアンの習俗や慣習を描いた小説。
映画化済みの作品。
「時を盗む者」 トニイ・ヒラーマン(著)
インディアン警官コンビの活躍
ナバホ族のリープホーン警部補。インディアン遺跡の発掘現場から姿を消した女性人類学者の事件を追う。やがて事件は殺人事件へ発展し!?ー
アリゾナの雄大な大自然を背景にしたサスペンス小説。
「このやさしき大地」 ウィリアム・ケント・クルーガー(著)
エドガー(アメリカ探偵作家クラブ)賞 受賞作家の新作
2014年「ありふれた祈り」でエドガー賞を受賞している作家の最新作。
1932年、ミネソタ。教護院で暮らすオディは、暴力をふるう職員を殺してしまう。。施設を逃げ出し、ミシシッピ川を目指すが!?・・ 少年達のひと夏の冒険、成長の物語。
ハックルベリーフィンの物語
「歌え、葬られぬ者たちよ、歌え」 ジェスミン・ウォード(著)
[2017年] 全米図書賞 受賞作
現代アメリカ文学を代表する傑作長編
13歳になったばかりの少年ジョジョは、ネイティブアメリカン、黒人、白人の血をひく。貧困、ドラッグ、差別など、力強く生きる家族の物語。
アメリカ南部の置かれた環境を背景に。
「モヒカン族最後の戦士:一七五七年の物語」 ジェイムズ・フェニモア・クーパー(著)
アメリカ文学の古典的名作
開拓時代を描く連作「レザーストッキング物語」のうち最も読まれ、映画、演劇など、様々なアダプテーションを生み出した本書。西欧植民地主義が北米先住民に加えた甚大な損害とは!?・・
エスキモー(カナダ先住民など)
「エスキモーの民話」 ハワード・ノーマン(著)
北方民話集の決定版
エスキモー、北方インディアン部族に語り継がれる民話アンソロジー
15歳のノーマンは、カナダに移住する。北極圏と周辺の大自然に生きるイヌイット、クリー・インディアンに出会い、民話を学ぶ。天地創造、狩りと動物、トリックスターとシャーマン、伝承の物語が結集。
アイヌやシャーマンの話も。
「小さな家々の村:カナダ北の大地の思い出」 イアン・ファーガソン(著)
[2004年] スティーブン・リーコック・ユーモア賞 受賞作
カナダベストセラー作家の自伝的サバイバル文学
父子2代にわたる先住民との交流、友情、別れを綴った自伝風物語。
カナダ北部アルバータ州(カナダで史上最低気温、摂氏零下61度を記録したことのある地域)。著者が生まれ育った村での思い出。
【アボリジニ】オーストラリア先住民小説
「ボニーとアボリジニの伝説」 アーサー・アップフィールド(著)
英国推理作家協会賞シルバー・ダガー賞 受賞作
アボリジニと親交があった作家のオーストラリアが舞台の本格ミステリ
白人男性の撲殺死体が、巨大な隕石跡(ルシファーのカウチ)で発見される。。身元不明の男性は、なぜ殺されたのか!?・・ 足跡のないクレーターから、どう死体を運んだのか!?・・
〈ナポレオン・ボナパルト警部〉シリーズ
【北欧系】サーミ人など
「影のない四十日間」 オリヴィエ・トリュック(著)
ミステリ批評家賞 受賞作
北欧の先住民族「サーミ人」絡みの北欧ミステリ
ノルウェーの町で、長い極夜の後、トナカイ牧夫が死体で発見される。トナカイ所有者同士のトラブルが原因か!?北欧3ヶ国にまたがるサーミ人居住地のトナカイ警察のコンビ、クレメットとニーナは捜査を進めるが、サーミ人を巡り思惑が入り乱れ!?・・
「真夜中の太陽」 ジョー・ネスボ(著)
ノルウェー・ミステリの先駆者が描く先住民の地
少数民族サーミ人が住むノルウェーの北部。夏の間、真夜中でも陽が沈まない極北の地。大金と銃を持つウルフと名乗る男が、隠れ場所としてやってくる。教会の堂守であるサーミ人母子と次第に心を通わせていくが!?・・
ロシア系先住民小説
「消失の惑星」 ジュリア・フィリップス(著)
第2回(2022年)みんなのつぶやき文学賞【海外編】第1位
カムチャッカの民族、文化、風土を感じるサスペンス系小説
先住民族(エウェン人、チュクチ人、コリヤーク人、アリュート人)など、カムチャッカ半島の地方に住む先住民族の暮らしやなども、かい間見れる犯罪小説。トナカイの肉の食生活など。
台湾原住民小説
「真の人間になる」 甘耀明(著)
台湾・中華圏の文学賞を制覇した後世に残る名作
17年かけて執筆された、ブヌン族の少年ハルムトの成長を描いた大作。
1945年、終戦前後の混乱した状況下、日本人も犠牲となった「三叉山事件」モチーフに、台湾の美しい自然、人々の歴史と神話的な物語。
台湾原住民族、ブヌン族の少年・ハルムトを主人公に、「三叉山事件」が起こるまでの上巻。「三叉山事件」が起こってからの出来事が中心の下巻へー
「暗礁」 パタイ(著)
台湾原住民作家が描く琉球人遭難事件
台湾出兵(牡丹社事件)の発端となった事件を描いた作品
1871年、台湾南部の海に座礁した琉球宮古島の船。船に乗っていた66人は台湾に上陸し、大耳人と呼ばれる人々に出会う。村に案内され、食物と宿を提供されるが、その夜の出来事に驚愕し、逃げ出す。その無礼に大耳人は彼らを追いかけ、事件へ発展するが!?ーー
アイヌモシリ
「熱源」 川越 宗一(著)
[2019年下半期] 直木賞 受賞作
樺太(サハリン)のアイヌをテーマにした歴史大作
樺太に生まれたアイヌのヤヨマネクフ。集団移住の後、天然痘やコレラで妻や友人達を亡くし、再び樺太に戻ることを目指す。リトアニアに生まれたブロニスワフ・ピウスツキは、ロシアで皇帝の暗殺計画に巻き込まれ、苦役囚として樺太に送られる。。2人は樺太で出会い!?-
樺太で生きるアイヌの風俗や風土などが描かれている1冊。
ノンフィクション
「花殺し月の殺人・インディアン連続怪死事件とFBIの誕生」 デイヴィッド・グラン(著)
アメリカ探偵作家クラブ賞(最優秀犯罪実話賞)受賞作
米国史の暗部が絡む、犯罪ノンフィクション
1920年代、禁酒法時代のアメリカ、オクラホマ州。先住民保留地で、オセージ族と関係者20数人が不審死を遂げる連続殺人事件が起こる。のちのFBI長官、J・エドガー・フーヴァーと敏腕捜査官ホワイトが、石油利権と人種差別の大きな陰謀の真相に迫る!ー
インディアン達の人権を無視し、領土を拡大した背景なども。
「アイヌ神謡集」 知里 幸恵(著)
アイヌの民達が語り合い、口伝えに謡い継いできた言葉と物語
進みゆく世に抗い、後世に残したい伝承。
アイヌを知るすべての人におすすめの1冊。