2024年の日本翻訳大賞が発表されました。2024年も2作品が受賞しています。
毎年、2~3作品が大賞に選ばれます。
そんな、日本翻訳大賞の歴代(過去)の受賞作品を一覧にしています。
第10回(2024年)受賞作
「台湾漫遊鉄道のふたり」 楊双子(著)
2024年(第十回)日本翻訳大賞 受賞作
台湾人作家によるシスター“フード”小説
滷肉飯( ルーローファン)、冬瓜茶(冬瓜ジュース)、肉そぼろサンドカステラ、菜尾湯(五目スープ)、愛玉湯、おこわの上のワタリガニ、ひき肉の煮つけなど..
日台女ふたり鉄道旅の台湾を食べつくす美味しい旅行記小説。
1938年、日本統治下の台湾へ渡る作家・青山千鶴子。現地で出会う通訳担当の台湾人・王千鶴。2人の千鶴は、台湾縦貫鉄道に乗り各地へ!?・・日台植民地関係、貧富の差、女性差別など台湾の歴史とグルメ。
「母を失うこと――大西洋奴隷航路をたどる旅」 サイディヤ・ハートマン(著)
紀行文学の傑作
歴代(過去)の受賞作品一覧
第9回 受賞作(2023年)
「辮髪のシャーロック・ホームズ 神探福邇の事件簿」 莫理斯 (トレヴァー・モリス)(著)
第11回(2023年)翻訳ミステリー読者賞 受賞作
香港が舞台のミステリ歴史小説
清朝末期の香港を舞台に、中国人の福邇(フー・アル)と華笙(ホア・ション)が事件を解決していく・・
1880年代の香港の描写や歴史もわかるホームズ・パスティーシュ作品
「チェヴェングール」 アンドレイ・プラトーノフ(著)
20世紀、ロシア文学の傑作
湖に自ら身を投げ出した父親の息子アレクサンドル(サーシャ)は、ポリシェビキとして親友のコピョンキンと共に、共産主義を探して放浪し、共産主義の完成した理想郷・チェヴェングールを見出すが!?--
20世紀小説の最高峰のひとつとも言われています。
第8回 受賞作(2022年)
「星の時」 クラリッセ・リスペクトル(著)
ブラジルに移住したウクライナ生まれの作家による文学作品
「ブラジルのヴァージニア・ウルフ」とも言われているそうです。
作家のロドリーゴは、ある少女について記述する。
ブラジル、リオのスラム街。地方からスラムに来た天涯孤独のタイピストは、自分が不幸であることを知らなかった!?・・
「詩人キム・ソヨン 一文字の辞典」 キム・ソヨン(著)
詩的な一文字の辞典
人生の時間、感情、情景など様々な場面を描いた1冊。
第7回 受賞作(2021年)
「マーダーボット・ダイアリー」 マーサ・ウェルズ(著)
ヒューゴー賞・ネビュラ賞・ローカス賞 3冠 &2年連続ヒューゴー賞受賞
1人称視点で話が進むハードボイルド ホラーサスペンス SF
記憶を消された人型警備ユニットは、過去の事件の真相を追い始めるが!?・・
「失われたいくつかの物の目録」 ユーディット・シャランスキー(著)
ヴィルヘルム・ラーベ賞 受賞
「もっとも美しいドイツの本」受賞作家の「喪失」をめぐる12の物語。
海に沈んだツアナキ島、絶滅種カスピトラ、マニ教の7つの聖典、キナウの月面図など、自然、歴史、文学の魅力が詰め込まれた1冊。
第6回 受賞作(2020年)
「アカシアは花咲く」 デボラ・フォーゲル(著)
短編集です。世界のモダニズム文学の旗手として注目を集めています。
著者が過ごした東欧の街リヴィウは、オーストリア領、ポーランド領、ウクライナ領と歴史の中で帰属を転々とする地でした。
【著者経歴】
1942年没の作家です。オーストリア領ガリツィア(現ウクライナ西部国境地帯)でユダヤ人の家庭に生まれ、独立ポーランド領の都市リヴィウで心理学と文学を教える教職につきます。1941年の独ソ戦でリヴィウがナチス・ドイツに占領され、ユダヤ人ゲットーに強制移住させられます。ゲットー内のユダヤ人一掃作戦により、母、夫、息子と共に射殺されました。
「精神病理学私記」 H. S. サリヴァン(著)
学術書となっています。匿名の症例も出てきますが、著者自身の経験から書かれているのではないかと言われています。
【著者経歴】
戦前のアメリカの精神科医です。1892年、ニューヨーク州生まれ、アイルランド系移民3世。シカゴ医学校を卒業後、陸軍連絡将校を経て病院で臨床医となります。重症精神病に対する心理療法を特徴とする北米の力動精神医学の中心的存在となります。
第5回 受賞作(2019年)
「ガルヴェイアスの犬」 ジョゼ・ルイス・ペイショット(著)
ポルトガル語圏で最大の文芸賞の1つであるオセアノス賞受賞
ポルトガル作家の奇想天外な物語。読了者の評価も非常に高い1冊です。
「JR」 ウィリアム・ギャディス(著)
第27回全米図書賞受賞作
金融ブラックコメディで、世界文学の傑作「ユリシーズ」やノーベル文学賞作家ガルシア=マルケスの「百年の孤独」、トマス・ピンチョンの「重力の虹」に比肩する世界文学の最高傑作とも言われています。
全940ページもあり、1.2キロの重さから2018年に読書界を震撼させたウィリアム・ギャディスの傑作です。
第4回 受賞作(2018年)
「殺人者の記憶法」 キム・ヨンハ(著)
韓国作家の長編ミステリー小説の傑作 映画原作小説。
文学トンネ作家賞、黄順元文学賞、東仁文学賞、万海文学賞、現代文学賞、李箱文学賞、金裕貞文学賞など、韓国の主要な文学賞を多く受賞
「人形」 ボレスワフ・プルス(著)
19世紀中頃のワルシャワが舞台のポーランド文学
1冊で1248ページもある超重厚作品です。
1968年には映画化、連続テレビ化もされている古典の傑作。
第3回 受賞作(2017年)
「すべての見えない光」 アンソニー・ドーア(著)
ピュリツァー賞受賞作
時代に翻弄される人々の苦悩を描いた感動巨編
「ポーランドのボクサー」 エドゥアルド・ハルフォン(著)
ユダヤ系グアテマラ作家による短編集12編
グアテマラシティで、アンティグアで、ベオグラードで、エルサレムで、世界各地を舞台に少数派的状況を生きる自身のルーツを探求する
第2回 受賞作(2016年)
「素晴らしきソリボ」 パトリック・シャモワゾー(著)
カリブ海の小島マルチニーク出身作家によるクレオール文学の代表作
言葉の魔術で語りべの口上筆記による口承文学。
「ムシェ 小さな英雄の物語」 キルメン・ウリベ(著)
スペイン、バスク文学の傑作長編小説
第1回 受賞作(2015年)
「カステラ」 パク・ミンギュ(著)
現代韓国文学の人気作家による短編小説集
「ピンポン」の著者の作品です。
「格差社会」「貧困問題」「就職難」などの社会不安で若者達を取り巻く状況をユーモア溢れる文体で描く
「エウロペアナ: 二〇世紀史概説」 パトリク・オウジェドニーク(著)
現代チェコ文学を牽引する作家による話題作
20世紀ヨーロッパ史の裏面史
「世界大戦」「共産主義」「ファシズム」「宗教」などの20世紀を象徴するテーマや事件をユーモアを交えて描く斬新な歴史小説
読者賞
「ストーナー」 ジョン・ウィリアムズ(著)
日本翻訳大賞とは!?
日本翻訳大賞は、日本翻訳大賞実行委員会が主催する優れた日本語翻訳の作品に贈られる賞です。
12月1日~翌年の12月末までの13ヶ月間に発表された翻訳作品の中から最も賞讃したい本に贈られます。
日本翻訳大賞は、一般読者の支援を受けて運営されてきました。
2014年に、わずか1日でクラウドファウンディングの目標額をクリアし、約340万円の支援を受けて設立されました。
朗読や生演奏を交えた授賞式は、イベントとしても好評を博しています。