【全米図書賞】歴代受賞作一覧|日本人受賞者の作品も(National Book Awards)

全米図書賞歴代

全米図書賞(ナショナル・ブック・アワード)の歴代受賞作品まとめ。

アメリカで権威のある賞と言われている全米図書賞は、アメリカ文学を代表するような作品が多く受賞しています。

現代アメリカ文学を代表するような作品が多く選出されています。

全米図書賞(National Book Awards)とは!?

全米図書賞は、米国(アメリカ)で最も権威ある文学賞と言われています。

全米図書協会により運営され、小説部門、ノンフィクション部門、文芸部門、歴史・伝記部門など、いくつかの部門があります。

ナショナル・ブック・アワードと表記されることもあります。

アメリカ文学の作品が選出され、過去、現代のアメリカの深部、闇などが見えてくるような作品も多く選ばれています。



小説部門(FICTION)歴代受賞作

2023年 受賞作

「Blackouts」 Justin Torres(著)

Blackouts
Farrar, Straus and Giroux
発売日:Kindle版

the National Book Award for Fiction 2023

全米図書賞受賞作が、2023年11月15日に発表されました。

同性愛者研究者のジャン・ゲイが、20世紀初頭に同性愛者を対象に収集した報告などを含む作品とのことです。

 

2022年 受賞作

「The Rabbit Hutch」 Tess Gunty(著)

The・Rabbit・Hutch
Oneworld Publications
発売日:2022/7/21

インディアナ州サウスベンド生まれの作家のデビュー作です。

「ウサギのハッチの産業化後の設定」ということです。

 

2022年 【翻訳部門】 候補作

「地球にちりばめられて」 多和田 葉子(著)

2018年に「献灯使」で翻訳文学部門を受賞した多和田 葉子さんが2022年、再び候補作になっています。

留学中に故郷の島国が消滅してしまった女性Hiruko。ヨーロッパ大陸で生き抜くために独自の言語「パンスカ」をつくりだす。「国」や「言語」の境界が危うくなり、誰もが移民になりえる時代を照射する越境譚。



2021年 受賞作

「Hell of a Book」 Jason Mott(著)

WINNER – NATIONAL BOOK AWARD FOR FICTION 2021

黒人少年の悲しい物語。

人生の殆どを隠れることに費やした少年のラブストーリーでもあります。

 

2020年 受賞作

「Interior Chinatown」 Charles Yu(著)

WINNER – NATIONAL BOOK AWARD FOR FICTION 2020

人種、ポップ・カルチャー、移民、同化、そして押し付けられた役割からの逃避!?

一般的なアジア人男性のウィリス・ウー。チャイナタウンの部屋を出て、警察ドラマ「ブラック アンド ホワイト」が制作されているゴールデンパレスレストランに入るが!?・・

 

翻訳文学部門

「JR上野駅公園口」 柳 美里 (著)

日本人作家の柳美里さんが【翻訳書部門】を受賞されました。

2020年【翻訳書部門】の受賞となりました。

1933年、東京オリンピックの前年、出稼ぎのためひとりの男が上野駅に降り立つ。居場所を失くした彼の壮絶な生涯と日本の光と闇!?・・

 

2018年 受賞作

「友だち」 シーグリッド・ヌーネス(著)

真冬のニューヨーク。

女性作家のアパートに、自殺した男友達の老犬が転がりこんでくる。。次第に衰える犬と共に、喪失感をかかえながら綴る人生観。

老いるとは何か!?・・

 

翻訳文学部門

「献灯使」 多和田 葉子 (著)

芥川賞、ドイツのクライスト賞なども受賞している多和田葉子さんが、翻訳文学部門を受賞しています。

日本人として36年ぶりの快挙で、ディストピア小説の新たな名作とも言われている作品です。

 

2017年 受賞作

「歌え、葬られぬ者たちよ、歌え」 ジェスミン・ウォード(著)

アメリカ南部、ミシシッピ州が舞台の小説

人種差別、貧困、ドラッグ、暴力など、米国の深部が見えてくる現代アメリカ文学。

マジック(魔術的)リアリズム的手法も含みながら・・

 

2016年 受賞作

「地下鉄道」 コルソン・ホワイトヘッド(著)

地下鉄道
早川書房
発売日:2020/10/15

[2017年] 全米図書賞 受賞作

実在した組織「地下鉄道」と言われる組織がテーマのアメリカ南部文学

歴史的事実をテーマに奴隷少女の逃亡譚。

奴隷少女コーラは、過酷な現実から自由を目指し北部へ逃げるが!?・・

19世紀、南北戦争前に存在した黒人解放運動に同調する人々で組織された奴隷の逃亡援助組織「地下鉄道」は、南部から北部やカナダへの亡命を手助けした。。

新作「ニッケル・ボーイズ」は、2020年にピュリッツァー賞を受賞。

 

2014年 受賞作

「一時帰還」 フィル・クレイ(著)

一時帰還
岩波書店
発売日:2015/7/24

戦争の愚かさ、悲惨さを描く戦争文学

イラク戦争からの帰還兵による戦地からの帰還兵の日常と乖離してしまった現実。。 戦争体験者による戦争小説短編集。

海兵隊員として戦場の最前線に臨んでいた著者の経験を反映した作品。

 

2009年 受賞作

「世界を回せ」 コラム・マッキャン(著)

世界を回せ
河出書房新社
発売日:2013/6/11

オムニバス形式でニューヨークを舞台にした物語

人種のるつぼニューヨークに住み、生きる人達のストーリー

1970年代のニューヨーク。マンハッタンの高級街、ブロンクスの荒廃したアパート、それぞれの人生と日常。

映画化もされています。

 

2007年 受賞作

「煙の樹」 デニス・ジョンソン(著)

ヴェトナム戦争を題材にした骨太小説

1963年、ケネディ大統領暗殺から始まる物語。多くの登場人物。ベトナム戦争の情報作戦を軸に、それぞれが翻弄され、戦争に憑かれていく・・

「煙の樹」と言われる情報作戦とは何なのか!?・・

 

2006年 受賞作

「エコー・メイカー」 リチャード・パワーズ(著)

ピュリッツァー賞最終候補作

ピュリツァー賞を受賞「オーバーストーリー」でも知られる著者の代表作

1923年に、フランスの精神科医らが報告したカプグラ症候群(親しい人を偽者のなりすましだと言ったり、ロボットだと思い込んだりする症例)をテーマにした小説。

愛する人が、あなたを別人だと言い出したら!?・・

 

2002年 受賞作

「六月の組曲」 ジュリア・グラス(著)

六月の組曲
ディーエイチシー
発売日:2003/12/1

愛と喪失、後悔と希望。大切な人の死を乗り越え、人生の再出発を試みる人達の人生物語。

ニューヨーク、ギリシャ、スコットランドを舞台に展開。

1989年6月、妻との半生を振り返り、妻の死後、ポールはギリシャを訪れる。1995年6月、ポールの息子フェンノは故郷スコットランドに帰る。エイズで亡くなった友人を思いながら。。1999年6月、ファーンは恋人の子供を身ごもる。

 

2001年 受賞作

「コレクションズ」 ジョナサン・フランゼン(著)

ジェイムズ・テイト・ブラック記念賞受賞

アメリカ家族の様々な問題。。

年老いた両親、銀行員だが妻子との喧嘩が耐えない長男ゲイリー。勤務先の大学を首になった次男チップ、恋愛がうまくいかない末っ子のデニース。

タイトルの「コレクションズCORRECTIONS」通り「修正、訂正」できるのか!? 5人の運命は!?--

 

2000年 受賞作

「イン・アメリカ」 スーザン・ソンタグ(著)

イン・アメリカ
河出書房新社
発売日:2016/5/27

実在の人物をモデルにし、史実とフィクションを織り交ぜた小説

19世紀後半、ポーランド。大女優がアメリカへの移住を決意し、カリフォルニア州アナハイムで新生活を始める。。その後、アメリカでも女優として成功するが・・

 

1999年 受賞作

「待ち暮らし」 ハ・ジン(著)

PEN/フォークナー賞受賞作

人生の意味を問い直すアメリカ文学の傑作

離婚を懇願していた軍医の孔林は、離婚成立後、看護婦の呉曼娜と新生活を始める。そんな2人に次々と困難が降りかかるが!?・・

 

1998年 受賞作

「チャーミング・ビリー」 アリス・マクダーモット(著)

ビリーをとりまく人々と彼の人生。

ブロンクスのバーで葬儀後に昼食会で集まる人々。アルコール中毒で死んだビリーを様々な人達が語る。。

ひとりの女性を想い続けたビリーの恋人との手紙のやりとり・・

 

1997年 受賞作

「コールドマウンテン」 チャールズ・フレイジャー(著)

南北戦争絡みの傑作

南北戦争の負傷兵が恋人の待つ故郷へ向けて脱走するが!?・・コールドマウンテンを目指し困難な旅を続ける悲恋の物語。

ゴールデン・ブッカー賞である「イングリッシュ・ペイシェント」の映画版監督により、映画化もされています。

 

1993年 受賞作

「シッピング・ニュース」 E・アニー・プルー(著)

人間の再生をテーマに描く感動作

新聞記者のクオイルは自分を裏切った妻に事故死され、人生をやり直すため、娘2人を連れ、父の故郷ニューファンドランドへ向かうが!?・・

ケビン・スペイシー主演で映画化もされています。

 

1992年 受賞作

「すべての美しい馬 」 コーマック・マッカーシー(著)

アメリカ青春小説の傑作

ノーベル文学賞候補で毎回名前の挙がるコーマック・マッカーシーの名作

1949年、16歳のジョン・グレイディ・コールは、愛馬、親友のロリンズと共にメキシコへ越境する。牧場で馬と共に生きるために。。途中、年下の少年を加えながら3人は運命の渦中へ踏み込んでいく・・

 

1992年以前の有名受賞作品

1974年に、トマス・ピンチョン「重力の虹」などの有名作品も過去に受賞しています。

ノーベル文学賞候補に毎回挙がりながら受賞していない奇才ピンチョンの骨太代表的作品です。

 

JR
国書刊行会
発売日:2018/12/21

1976年には、ウィリアム・ギャディス「JR」が受賞しています。

世界文学史上弩級の金融ブラックコメディ。940ページの骨太作品。